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番外編
ズルイ人


由×智の未来のお話です。ラブ、ラブ…かなぁ。












ゆっくりと唇を合わせる。ふるり、と智也の身体が震えた。
うっすらと眼を開けて見れば、智也は耳を赤くして、眼を堅く閉じていた。

ふ、と笑みが零れる。

口づけ以上のことを、もう幾度となくしているというのに、反応は変わらず初々しい。


「…ふ、ぁ…」


息苦しさから口を開けた所を見逃さず、舌を口内に割り込ませる。ゆっくりと智也の歯列をなぞり、舌を絡めとる。


「…んん…ふ……」


頬に添えていた手を腰に回し、角度をかえて、智也の唇を堪能する。


この瞬間、いつも思う。


このまま、貪り尽くせたらいいのに、と。
そうして、コイツを自分の一部にしてしまえば、もう離れることなどないのに、と。


とんとん、と智也に胸を叩かれ、渋々唇を解放する。


「…はぁ、は、…」


息苦しさだけではないだろう。


智也の瞳はとろんと蕩けていて、頬は桃色に染まっていた。


「顔、紅い」


くつくつと笑いながら頬を撫でる。


「…しょうがないじゃん。苦しかったんだから」


頬を膨らまして、唇を尖らせて拗ねる。そう云いながら唇を尖らせている。そこに笑いながら、またキスを落とした。
すると茹であがった蛸のように急激に真っ赤になっていった。


「真っ赤だな」

また、自然と笑みが零れる。

「うう、うるさいやいっ!」


唇を腕で隠しながら、俺から距離を取りながら、セクハラ!なんて叫んでいる。

けれど、どこかに行ってしまう素振りは全くない。


「智也、」


智也の名前を呼ぶのが好き。


手をひろげる。
そして、わざと妖艶な笑みをつくってみせる。



「おいで、」



そう言うと、智也はまた顔を紅くした。
そして、おずおずと近づいてきて、シャツの裾をきゅう、と握った。


「…ズルい」


俺がその顔に弱いの知ってるくせに、と眼で非難される。
俺はニヤリと笑って、


「知ってる」


と応えた。

そうして、裾を握っていた智也の手をやんわりと握りしめて抱き寄せる。
すると、すり、と智也が胸にすり寄ってきた。



けど、な、と心の中で呟く。



お前もズルい。
俺は、お前の一挙一動全てに弱いんだから、と。



(…参った、)




自分がこんなに溺れるとは、




(予想外だ)




こんなに誰かを欲するなんて。




けれど…




きゅ、と智也抱きしめながら、ふ、と口元が綻ぶ。







(こんな自分も悪くない)









end

甘…!←

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