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sweet kiss




「ごめんね、あたし秀一と付き合ってるから」




ベタにも体育館の裏に呼び出されての告白
同じクラスの割と仲の良い男友達からだった



「振られるのはわかってたけど、やっぱちょっと落ち込むな。でもありがとう。すっきりしたよ」

「ううん、気持ちは嬉しかったよ。ありがとう」

「これからもクラスメイトとしてよろしくな!」

「あはは!よろしくね」



今までの気まずいの空気をかき消すように
彼はいつものように振舞って話てくれた


あたしも少しほっとして吹き抜ける風に
髪をなびかせた




「あれ?苗字、首、虫に刺されてるぞ」

「え?やだ、嘘!どこ?」

「左の首筋、赤くなってる」

「やだー、いつだろう…」

「ほんとになー!冬なのに、…な…んで…だ…?」

「へ…?あ…」

「…!」



彼の顔がぼっと赤くなった
そんな彼を見てあたしも言葉を失った



「あ…や、違うの!あの…えと…」

「ああ…」

「む、虫だから!!きっと!ダニだよ!!」

「そ、そうだよな!!虫だ!!あははっ!」

「あははっ!そうだよ!!」

「人をダニ呼ばわりなんて、心外だなあ」

「南野!」

「くっ…、秀一!」




いつからいたのか、蔵馬はあたしの後ろから腰に手を添えて
包み込むように抱きしめていた




「お前…!いつからそこに…?」

「ついさっきですよ。名前の首が虫に刺されているとかの時」

「南野…、それ、お前が…」

「野暮な事聞かないで下さいよ。愛の証ですよ」

「ちょっ、ちょっと秀一!!」

名前に悪い虫がつかないようにね。ほかに聞きたい事は?」

「ねぇよ…」

「それはよかった」



オロオロとするあたしは
ただ蔵馬の腕のなかでその光景を見るしかなかった




「はあー」



と、そのとき彼が盛大にため息をついた




「諦めるよ、苗字

「へ?」

「ほんとはちょっとまだ諦めたくなかったんだ。ずっと好きだったし。でも、無理そうだし諦めるわ」

「…」

「悪かったな、南野。きっぱり諦めるよ。」

「ああ、その方が君の為だよ」

「そうだな。お前には勝てそうにねぇわ」

名前は俺のだから」

「はいはい、全くお前らには付き合ってらんねーよ。じゃあな!」

「あ!待って!…なんかごめんね。嬉しかったよ!ありがとう!」

「ああ、仲良くやれよー」




そう言って彼は去った



名前

「…」

「ねえ、名前?」

「わかっててやったのね」

「さて、なんの事だか?」

「彼に告白されるのを知っててキスマークつけたんでしょ!だからさっきあんなとこで…」



そう、体育館裏に行く前に蔵馬に
階段の下で急にキスをされた
おまけにそれだけじゃ飽き足らず
太ももや腰を撫でてきたのだった
まさかそのときにどさくさに紛れて
こんかものをつけてたなんて…




「ばか」

「ごめん」

「しばらく消えないよ、これ。どうすんのよ」

「みんなに見せつけたらいいさ」

「恥ずかしいよ、ばか」

「あははっ」

「笑い事じゃないでしょー!」

名前

「何?…っん」


ちゅっと、可愛いリップ音を鳴らしてのキス
そして目が合ったと同時に深いものへと変わった




「虫に刺されたんなら消毒しなくっちゃね」


そう言って首筋を撫でる蔵馬に
言い返そうとしたが言葉と一緒に
唇を塞がれてしまった






「野外プレイってのはどうかな?」

「…しないから」




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