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境界線、超えてもいいですか?



「南野くん!」



2限目が終わった休み時間
ぱたぱたと笑顔で近づいてきたのは同じクラスの女子
名前は苗字 名前




「さっき返ってきた模試どうだった?」

「はい、見ていいよ」

「あーっ!やっぱりまた南野くんが1位かー!」

苗字は?」

「はい」

「なんだ、2位じゃないか」

「でもまた負けちゃったよー」

「社会は苗字の方が上じゃないか」

「ほかはぜーんぶ負けてるけどね!」



ぷぅっと膨れた顔がなんとも愛らしい




「あー!いっぱい勉強したのになあー」

「そんなに俺に勝ちたい?」

「勝ちたい!」

「どうして?」

「へっ…?どうしてって…」

「どうしてそんなに勝ちたいの?」

「そ、それは…」

「それは?」


あ、赤くなった。
おろおろしたと思ったら少し俯いて唇を尖らせてこちらを睨んできた
思わず吹き出してしまった



「な、なんで笑うのよ!」

「いや…、ごめんごめん」



可愛くて、つい、なんて言えない



「ね!次の模試勝負しようよ!」

「勝負?」

「うん!ね、しようよ!」

「じゃあ勝った方が相手の言うことを聞くっていうのはどう?」

「いいよ!あたしが勝ったらなんか奢ってよ」

「…それはデートのお誘い?」

「あっ…いやっ…購買のパンとかジュースとかね!!」



あ、また赤くなった。
コロコロと表情が変わって見ていていつも飽きない



「じゃあ俺は…」

「あっ、何がいい?」

「…」

「南野くん?」

「…勝負がついてから言うよ」

「えーっ、今言ってよー」

「だめ。楽しみがなくなるからね」

「むぅー…」

「ほら、次の授業始まるよ。席戻んなきゃ」

「怖いのだけは嫌だからねー」



チャイムが鳴ってそれぞれ席に着いていく
彼女も自分の席に戻ろうとした



名前

「えっ…」


突然名前で呼ばれた彼女は驚いて振り返った



「絶対勝つからね、俺。必ず言うこと聞いてもらうから」

「あ、あたしだって負けないから!!」



これは何がなんでも負けるわけにはいかないな
勝利の言葉は何にしようか



『俺のものになって』



そう言えば彼女はまた真っ赤な顔をするのだろうか
そんな事を考えながら彼女の後ろ姿を見つめた




君との境界線を超えるまであと少し



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あきゅろす。
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