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やわらかな溺愛





「ねぇ、紅茶とコーヒーどっちがいい?」


「そうだなぁ…、今日は紅茶をもらおうかな」





久しぶりに蔵馬がうちに来た。
最近はお互いいろいろ忙しくて学校の休み時間か
下校を一緒にするくらいしかなかった。



こんなゆっくりするなんて、ほんと、久しぶり。



「はい、おまちどー。熱いよ」

「ありがとう、名前



ふわりと優しく微笑みかけてカップを受け取る。
そんななんて事ない仕草にもあたしは見とれてしまう。



「どうしたの?」

「ううん!なんでも!」



見とれてた、なんて今さらすぎる
もう付き合って2年の経とうというのに。
まだあたたかいミルクティーに目を向けてあたしはごまかした。


「もうすぐ期末テストだなぁー」

「そうだね」

「やだよー!勉強したくない!」

「俺だっていやだよ、仕方ない仕方ない」

「うー…」

「終わったらどこか行こうか?」

「わあ!いいねぇ!映画行きたい!」

「じゃあしっかり勉強すること」

「あー…」



そりゃあ蔵馬とはデートしたいけど勉強となると…
やっぱり勉強はいやだーっと言いながらあたしは後ろのベッドに上半身を投げた



名前



うなだれた頭を撫でる暖かい手と
とろけそうなくらいの優しくて甘い声に
あたしはそのまま彼の肩に身をあずけた



「ねぇ、ぎゅーってして?」

名前はほんと甘えん坊だな」

「だめ?」


そう言うと蔵馬はふっと笑って腕のなかに
あたしを閉じ込めた。



「これでいいでしょうか?お姫様?」

「ふふっ、すごくいいよ…」

「それはよかった」



彼の長くて柔らかな髪に顔を埋めて
あたしも背中に腕を回して抱きしめた。


あたし達だけの時間


抱きしめる腕が少し緩んだと思って目を開けると
そこには愛しい彼の微笑んでる姿があった


「キスしてもいい?」

「あはっ、なんで聞くのよ!」

「なんとくね、ねぇ、だめ?」


そんな甘い声と眼差し向けられてだめだなんて言うわけないじゃない



「ねぇ、名前?」




ああもう溺れてしまいそう



返事の代わりに目を瞑ると
また彼がふっと微笑んだ気がした






甘い甘いミルクティーの味がした




どこにも行かなくてもこんな風に
過ごす方がいいかもね







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