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お題小説その2
ねえ僕に賭けてみない?










『君も学習しないよね、兄さんに逆らっても勝てっこないのに』

「その台詞そっくりそのまま返すぞ。お前の場合ガルバトロン相手だけど」


「『………………』」


お互いに顔を逸らした。
芳月の腕には青痣、シックスショットのモノアイの顔の上部にへこみ。お互いに気に入らない相手の言う事に従うのを嫌う両者ならではの傷痕だ。
芳月はレーザーウェーブ、シックスショットはガルバトロンが気に入らない。
ただシックスショットは芳月がレーザーウェーブ…己の兄を拒む芳月が少しもどかしかった。自分と兄の姿と声は酷似しているし、違いは精々カラーリング位。そんなよく似た兄を拒むという事は少なからず自分の事も拒んでいるのではないだろうか。

『兄さんには、逆らわない方が賢明ですよ。まだ死にたくないでしょう?』

「死にたくないけどそれとこれとはまた別問題。何でナイトスクリームと会話交わしただけで手上げんのか訳分からん」

頬杖を付いてごちるとシックスショットは『鈍』と思わず口にした。兄のレーザーウェーブは少し大人気ない嫉妬をしているだけなのだ。特に相手はレーザーウェーブが嫌うナイトスクリーム、余計に嫉妬する。
要はお気に入りの玩具が他人に取られたような思いに違いない。
芳月は兄が形は違えども自分以外に心を許している唯一の存在。だからこそ他人に寄るのが許せないのだ。

『だったらナイトスクリームと話さなければいいだけの話、簡単でしょう?』

「…結構良い奴なんだけど、ナイトスクリーム」

リペアすれば礼言うし。
その言葉にシックスショットは固まった。
あのガルバトロンに忠実でそれ以外には関心の薄そうなナイトスクリームが?
馬鹿な、シックスショットは思った。

「レーザーウェーブは礼一つ言わないけどね」

『兄はそう言う柄ではありませんからね』

「弟のお前はどうなのよ」

『僕ですか?相手によりけり、だね』

「うわ、選ぶタイプだ」

『おや、お嫌いで?』

「どっちもどっちでしょ。嫌いとかって問題じゃないの…」

『じゃあ僕の事拒絶したりしないよね!?』

そう言って逸らしていた顔を芳月の顔に思いきり近付ける。これでもかと言わんばかりに見開いた人間独特の瞳とぶつかった。
黒い獣耳のようなパーツがピコピコ忙しなく動き、シックスショットは更に言葉を続けた。




ねえ僕に賭けてみない?
(僕なら兄さんより優しくしてあげられるよ)




だから僕のものになりなよ












やっぱり弟は弟だった、的な。
ただ違うのは弟は言葉で攻め入り、兄は力で攻め入ります。




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