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隣には知らない大人






蛇に睨まれた蛙の気持ちが分かるなあ…


芳月は自分をじーっと見続けるビッグコンボイの視線が突き刺さって痛くて仕方無い。

「あのーさ、」

『何だ』

「何で客室にずっと居座ってんのさ。いや、ここはお前さん達の船だから悪いとは言わないけどさ、教官殿が客室に入り浸りでいいのかね」

『ここも船の一部だ。問題は無い』

「…あると思うなあ」

芳月は腰掛けていたベッドから降りると壁にもたれているビッグコンボイに近付く。

「“ワンマンズアーミー”なんて言われてる御仁がそんなんでいいの?」

『教官でいるとたまに息を吐く時間が欲しくなるさ』

「教官と戦士でいるのとどっちがいい?」

『ふふ、どちらだろうな。だが芳月の前では少なくとも教官でいるつもりはない』

「ん?友人として?」

『はは、それはどうだろうな』

「?」

『俺も、こういった面ではまだまだ青いな。この程度では気付いてはもらえないか』

「何の話?」

『さあな、まだ秘密だ』

「ええー」

『いずれ分かるさ、気にするな』

「訳分からん」

ビッグコンボイの言ってる事はイマイチ分かりにくいなあと芳月は首を傾げる。
時折ビッグコンボイは知らない人のような面を見せる。そう、こうして2人でいる時に多い。
芳月はビッグコンボイを見上げた。




隣には知らない大人
時折知らない男の顔になるのはどうして?





(少なくとも芳月の前では1人の男としていたいんだがな)










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