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禁止令発令されました





『芳月のアホんだらめー!!』
「ちょ、失礼だな!」








…分からない事がある。






先日、曹丕に好みは何だと聞かれて、芳月は辛い物と答えたら半泣きで怒ってどっかに行った。何だったんだ。
1日程考えてから筍イクに相談した芳月だったが筍イクは爆笑するばかりで何も教えてくれなかった。何なんだ本当に。



頼りの筍イクから結局何の答えも得られぬまま筍イクの執務室を出て、芳月はぶすくれながら部屋に戻ろうと城の廊下を歩いていると、何処からか曹丕の声が聞こえてきた。くそっ、だの司馬懿を呼べ、だのと苛々した声ばかり。一体何をしているのかとふと気になった芳月は声の出元を探してみた。

「ここかな…?」

そっと扉を開けて顔を覗かせてみれば薄暗い部屋に見慣れた後ろ姿。


『ええい!またバッドエンドか!司馬懿!どうなっているんだ、全くクリアー出来ないではないか!』


………。
バッドエンド?え、何それ。ゲームの話っぽいんですが。
嫌な感じと言うか予感がして、芳月は声が聞こえた部屋をそっと覗いてみた。


瞬間芳月は己が目を疑った。
部屋の中ではコントローラー片手にギャルゲーに勤しむ曹丕がいるではないか。
更にその側には司馬懿。お前軍師のくせに何やってんだよ。

『それにこのゲームの通り芳月に異性の好みを聞いたら食べ物の好みに勘違いされたぞ!』

あー、あれ異性の好みの事だったんだー。
得られた答えに芳月はようやく納得がいった。しかしそれ所ではない内容の会話が矢継ぎ早に耳に入ってくる。

『曹丕様、芳月は頭が少し可哀想な女なのです。このゲームの少女らのような反応は難しいでしょう』
『くっ…!芳月には女心というものが無いのか!』
『無いでしょうな』

あっさりばっさり失礼な事を言う司馬懿。あの野郎人がいないのを良い事に好き勝手な事言いおってからに。

『さあさあ曹丕様、芳月の事はさておき最新のゲームでまた女心を学びましょう』

…シ○プ○でか。
懐かしいなおい。…ってそうじゃなくて、女心をギャルゲーで学ぶってどうなんだ。女心はもっと複雑怪奇なんだよ。いやいやそれは置いといて。
何か、あのまま放置して曹丕が間違った認識を持ったら今後曹丕の奥さんになる人が哀れだ。そんな事を考えていたら更にとんでもない会話が聞こえてきた。は、何それ全クリしたらステップアップでパソゲー?おまっ、パソコンのギャルゲーと言えば年齢制限掛かるもんが多いんだぞ司馬懿ィィィィイ!曹丕にはまだ早い!と芳月が心の中で叫ぶ。

「よし、やっちゃうか」
『何を?』
「曹丕と司馬懿を…ってウヒャァァァァア!?かかか郭嘉!?」

恐らく偶然通りかかったのだろう。背後から声を掛けられた。
これはまずい、瞬時にそう思った芳月はほぼ反射的に郭嘉を壁にめり込ませた。
完全沈黙した郭嘉は放置して芳月はまたも偶然通りかかった賈クをひっ掴むと思い切り曹丕らのいる部屋の中に向かってブン投げた。『何で僕がァァァァァァア!?』と断末魔の叫びみたいな声が聞こえたがそこは華麗にスルー。文句ならお前の上司に言え。そっと合唱してから中から響いてきたいろんなものが崩れる音と共に『ハードが!』とか『ソフト割れたー!』と言う悲鳴が木霊した。
これで良い、曹丕の教育に不適切な物は排除完了。後で曹操に恩売ろう。

心の中でガッツポーズを決めてからごちゃごちゃになった部屋に踏み込む。

「元気ですかー!元気があれば何でも…」
『出来るか!!』
「知ってんのかアン○ニオ○木」

這い出てきた曹丕にツッコミ返しをし、芳月は物言わぬ屍同然の司馬懿を引きずり出して何処から出したのか縄で縛り上げると『私は、変態です』と書いた紙を司馬懿に貼り付け外に放置した。
一緒に賈クも外に出してやった。

「一国の王子がギャルゲーで女心学ぼうとすんな!」
『他に何で学べと言うんだ!』
「逆ギレすんな!」
『だって司馬懿の勧めで!』
「彼奴本当に筆頭軍師なのか」

何だか機駕の将来が究極に不安になってきた。だって、だってさ、機駕の民が女心学ぶ為に皆が皆ギャルゲーやるんだよ?やだよそんな国。

「兎に角!女心をギャルゲーで学ぶのだけは止め!てか何で女心学ぼうと思ったのさ」
『そ、それは』
「それは?」
『す…好きな者が「つか何でこっちにゲームがあんの?」
『聞けよ!』
「あ、ごめんごめん。何だっけ」
『私は!好きな者が!出来たのだ!』
「へぇ、良かったね」
『…。それだけか?』
「他に何と言えと」
『誰、とか』
「じゃあ誰」
『とって付けたように言うな!』
「えー、何だよツンデレー」
『私はツンデレじゃない!』
「あーはいはい。詳しい事は筍イク先生達のとこで申し開きしなね」
『何!』
「ギャルゲーばっかりする子には教育的指導です!筍イク先生達にもっと役に立つ事教えてもらいなさい!」

嫌だ嫌だとジタバタする曹丕をむんずと掴み、芳月は曹丕を引きずりながら筍イクの執務室へと向かって行くのだった。






ギャルゲー禁止令発令されました
(曹丕は暫くの間缶詰めで兵法の勉強をさせられ、司馬懿には暫く貼り紙の噂がつきまとったようで、芳月は司馬懿に追いかけ回られたとか何とか…)










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