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悪くはないと思う訳で




好きか嫌いかで言えば嫌いではない、と思う。
あくまで人としての話で色のある意味合いでではない。色恋沙汰の話ならそれを語れる程に長くいる訳でもないし浪漫ある間柄でもない。
だからこそ曹操に『お前は余をどう思う』と言われても由斗はいまいちぴんとこない。

まあはっきりしている事は「このスパルタ野郎」だが言った瞬間白い目で見られた。まずいこれは後の訓練でエラいしごかれる。

取り繕う訳ではないが次に「小さい、約二等身」と言ったら白い目の威力が上がった。いかん、これもまずかった。

苦し紛れに由斗は逆に自分の事をどう思うかと聞いてみた。

『失うべき者ではない、唯一無二の存在だ』
「それは闘姫としてなんでしょーに」
『素直に受け取れぬ女だな』
「すいませんね」
『余は答えたぞ。“由斗”をどう思うか』

敢えて強調した言い方に由斗は口ごもった。そういう言い方って何か狡いものがある。
ええとううんと、唸りながら考えてもいい表現が浮かばない。
痺れを切らしたらしい曹操が由斗に手を伸ばした。伸びた手の先の指が由斗の頬を掠めるように触れる。次に髪、顎、額と触れていく。
普段スパルタなくせに不意に優しくなったりする曹操が由斗は苦手だった。否、戸惑うのだ。そういうのに免疫がないせいもある。

『お前は相変わらず柔らかいな』
「…そりゃあそういうふうに出来てるもんだから」
『早く答えよ、でなくば明日の訓練が厳しくなるぞ』
「!?…あー…っと、その、居心地は悪くないと、思いマス」

ほぼ苦し紛れの答えだったが曹操は満足したらしい。眼差しが少し優しくなった曹操に由斗はハッとした。

「…そういうギャップって狡いわあ」
『余を振り回すお前が言う事か?』
「どういう意味」
『フフ、さて…な』

結局うやむやにされてしまうので、由斗は取り敢えず曹操に座布団を投げつけた。






(こっちばかりが慌ててばかりなのが少しだけ腹立たしい!)









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