俺の双子の妹を紹介します。
大きく振りかぶって
俺の双子の妹である名前は、双子の兄である俺が言うのもなんだが、
結構可愛い。と思うのは俺だけじゃないハズだ。こんなこと野球部
の奴等の前なんかで言ったらまず一番にクソレが"今日の阿部気持ち
悪い"って言うだろうからヤメテおく。そんな妹の遊びに付き合って
る俺は、ものすごく偉いと思う。見た目がいくら可愛いだろうが、
中身との差を知らないと恐ろしいことになる。小さい頃は転ぶとす
ぐに泣き出して俺の名前を呼んでいた名前だけど、今じゃそんな面影
一切無し。弟のシュンだって頭が上がらないほど、だからその分俺
に八つ当たりしてくるから、こっちとしてはいい迷惑だ。
「ターカーヤー、ボールとってー」
「はぁ?」
「だからっ、ボールが木にひっかかっちゃったの、とって」
「ったく … … … (何で俺が)」
「何か言ったー」
「 … 何でも」
早く早くと急かしてくる名前。ヤバイな、これは殺される覚悟でとら
ねえと、マジでヤバイぞ。つか、だいたいあんなところに引っ掛け
るなよ、と思ったけど投げたのは俺か。何であんなとこに投げち
まったんだよ俺。
「まだー?早くー」
「今どうやってとるか考えてんだよ」
「ふーん、とりあえず早くねー」
名前は隣の家の猫のところへ遊びに行った。なんていう奴だ。人が
せっかくとろうとしているのに、そんなのをよそに猫とじゃれあい
か!
「あれ、兄ちゃん何やってんの」
「あ? ボールとってんだよ」
「ボール? 兄ちゃんひっかけちゃったのー、ダサッ」
「うっせえな、お前には関係ねーんだよ」
俺がそう言うとシュンが"俺とれるよー"とか言って、持っていた
サッカーボールをボールが引っかかっているところへ向かって投げ
た。そのボールが見事にヒットしてサッカーボールと一緒に落ちて
きた。落ちてきたボールをシュンがキャッチしたけど、それはサッ
カーボールだけでそのまま"母さんがお昼にするって言ってた"と言
い残してチャリでどこかに行った。おそらく友達の家だろうとは予
想がついた、けどあいつ昼飯食うの早すぎないか?という疑問をい
だきつつも、猫と格闘している名前を呼んだ。
(昼にするってー)(マジ?あたしお腹ペコペコー)
title by 蒼灰十字