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英雄予言した、だって俺ヒーローだから!






 誰ちゃんと誰が付き合ってるだとか別れただとか、学生の情報網の広さと速さ
 をなめてはいけない。一瞬にしてバレて消えていくのがオチだ。だから、あたし
 は今此処に宣言する!そんなものの餌食にあたしはならない!


 「とかいってー、名前きっとそろそろ別れるとおもうぜー」
 「む、人がそーいうの話したあとにそうゆうこと言うのやめてくれる?」
 「しょーがねーじゃん!オレのなかのなんかがそーいってんだもん!」
 「はいはい、そーですかー」


 幼馴染というか腐れ縁というか、悠一郎とは小さい頃からの仲で、うるさいとこ
 とか普通に下ネタ連発するところとか、野球だけには真剣なところとか馬鹿だ
 ってこととか、そこら辺の人よりは知ってるつもり。それと同じで向こうもきっと
 あたしのこと知ってると思う。だからこいつは時々、マジな感じで鋭いのか?


 「(たしかに、今ちょっと危ないけど)」
 「オレ終わるにかけるから、じゃあチロルな!」


 どっちかっていうと向こうからって言うかあたしからっていうか、あー、今の危な
 い感じのね、向こうからはうざったいくらい愛がでてるんだけど、うーんあたしは
 あんまり愛をあげていないのか?っていうか愛っていうかなんだー、難しいな。


 「チロルねー、それぐらいならいいや」
 「え!じゃあわかれんの!?」
 「……かも?」
 「まじかー!じゃあオレ幻の白苺がいいっ、ゲンミツに!」


 きっと完全に愛が消えてしまったわけではないんだろうけど、どうすればいいのか
 もわかんないし、なんかおごる前提になっちゃってるし、明日は話をつけてこよう
 んでもってコンビニで幻の白苺を買ってあげよう。


 「でも名前はほんとにそれでいいのかよ」
 「だって、なんかわかんないんだもん」
 「名前がいーんならオレは別にいいんだけどっ!だって名前フリーになるってことはオレ
 にもチャンスがあるってことだろー?」


 あたしがフリーになったらチャンスねー…、チャンス、チャンス?なんのチャンスよ
 白苺また買ってもらえるっていうチャンスですか、なんですか、なんなんですか。


 「わかった!オレ、名前のこれからをよげんしてやっから、それあたったらチロルくれ
 よな!そのほーがたのしーじゃん、ゲンミツに!」
 「さよでございますか…」


 チロルだけは変わらないんだなって思った。ごめんねそこで!ごめんね食い意地張
 ってて!チロル好きでわるかったなっ!


 「まず、名前は明日今の彼氏と別れるだろー」
 「うっ(そーいわれると冗談でもキツいなあ)」
 「んでもって渚はなんだかんだ言って泣くだろ、帰りにオレにチロルおごってー、また
 泣くだろー、それをオレがなだめてー」
 「ちょっと待ってよ、どんだけあたし泣いてんのよ!」
 「えー、だって名前泣くじゃーん」


 あながち間違いではない。小さい頃からあたしは泣き虫だったから、こけたりしたらすぐ
 泣いたし、出来ないことがあっても泣いた、友達との喧嘩に負けて泣いたこともあるし、
 ほしかったものがなくって泣いたこともあった。ああ、こいつはやっぱりあたしのこと知っ
 てるんだ。

 
 「最後に!名前はオレを好きになる!ゲンミツにっ!」


 にっこりよりももっとにかって感じの笑顔でそんなこと言われちゃチロル買わずにはい
 られないでしょ。どうやらあたしは予言どおりになってしまいそうです。






      だって俺ヒーローだもん!






                              (幻の白苺買ってやるか!)
                              (まじでーっ!?)








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