悲しいことに私と蓮とは幼馴染だ。友達からは幸運とかっていわれるけど、実際変わってみればわかるこの儚さ。
だってずっと小さい頃からご近所さんで幼馴染で腐れ縁での私のことを、いきなり女と見てくださいって言ったとこ
ろで無理な話なわけであり、幼馴染からの一線はものすごーく遠い物である。こんなんだったら赤の他人でたまた
まクラス、学年が一緒で席も近いよみたいな偶然の出会いのほうがよかった。だって、私が蓮のことをどう思ったっ
て、蓮のなかの私は幼馴染でしかない。単なる、幼馴染でしかないのだ。朝とか、帰りとか一緒に帰るけど、幼馴
染でしかない。途中でひやかされたりするし、それはそれで嬉しいんだけど、幼馴染だし。本当に運命というものを
恨むよまじで。生まれ変わったらもっと赤の他人のそー言う感じの人になりたいです。
「ねー、蓮コンビニ寄って行きたい!」「別にいいけど、なに買うの?」「お菓子買うの!」「太るよ」「知ってるもんっ!」
こんな会話幾度となく繰り返してきた。でも、笑う蓮の顔が見れるならば何度とだって繰り返してやる。私はほんとに
蓮がいないとだめなんだなあって実感していく時。ちょっと寂しいけど辛くはない。
「どれにしよっかなー」「名前おごってくれんの?」「えー、蓮も食べたいのー?」
コンビニのお菓子売り場は狭いからもうちょっと広くして欲しい。そしたら選ぶ時間が増えて蓮と一緒にいられる時間
がちょっとは増える。だから店長さん頑張ってください!私のために頑張ってください。私を幼馴染という関係から一
線越えさせてください。私は越境がしたいんだーっ!
「蓮はさ、幼馴染っていいと思う?」「どうして」「私は幼馴染なんて嫌だよ、だって蓮のこと、好きなんだもん」
今、なんていった私!神様、私を越境させすぎだ!今は無いだろ今は!めっちゃくっちゃ嫌な奴じゃん!まさかの幼馴
染という関係まで微妙になってしまうタイプなんて嫌だよ!そしたらどうすんのよ、友達?友達でいてください?それは
無理があるだろ、だから赤の他人のほうがよかったんだーっ!
「名前」「何?」
お菓子の棚から目を逸らして蓮を見た。つもりだったのに、
「れ、蓮?(い、今、き、きすした)」「そーいうことだから」「え、え?」「ほら、行くよ」
差し出された蓮の右手。いつもどおりあったかくって、だけどいつもと違うのは二人して顔真っ赤なことと、恋人繋ぎ。
差し出された右手
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