[携帯モード] [URL送信]
もう離さないってきめた、だからちょっとぐらい我侭きくよ







                        マフラーとかぐるぐるにまいて、コートとかめっちゃ着込んで、だけどスカートは短くて、風が
                        吹くとすんごい寒いんだけど、蓮とつないでる左手だけはすんごいあったかかった。だけど
                        その暖かさが逆になんだかあたしを悲しくさせてきて、涙がこぼれそうになった。これはきっ
                        と寒さのせいだって誤魔化した。でも、だんだん苦しくなってきた。辛くなってきた。
                        「蓮、あたし蓮のことすっごい好きだよ」「うん、知ってる」「好きすぎて好きってぐらいじゃ伝
                        えられない、大好きよりも愛してるよりももっともっと蓮がいいの」「どうしたの急に」「蓮が好
                        きなんだよって、だからね、だから別れよう」
                        本当は別れたくないし、手だってこのまま繋いでいたいけどそれはあたしの我侭にすぎない
                        から。あたしが一方的に好きすぎて好きすぎてるだけみたいに思えてきて、勿論、蓮がそん
                        な冷たい人じゃないってことぐらい知ってる。でもその優しさがあたしをまた苦しめる。ああ、
                        今あたしすっごい我侭言ってる、蓮もすっごい困ってる。あたしは顔をあげられなかった。
                        「木下さんのこと、気にしてる?」「ちっ、違うよ!そ、そんなんじゃないよ」
                        たしかに、仁菜子ちゃんのことは全部ないっていうわけじゃない。委員会だって一緒らしいし、
                        仁菜子ちゃんが蓮に告ったってことも友達から聞いた。自信もてなくなったって言うのもある。
                        仁菜子ちゃんはあたしよりずっと可愛くて、ずっとずっときれいなこで、ずっとずっと、あたしな
                        んかよりもずっと、何かもってるきがしたから。
                        「仁菜子ちゃん、可愛いよね…」「ああ」「仁菜子ちゃん、蓮に告ったんだってね」「断ったけどね」
                        「仁菜子ちゃん、仁菜子ちゃん、仁菜子ちゃん」
                        ああ、完全に負けた気がする。だって可愛いってこと普通に肯定しちゃうんだもん、可愛いけど。
                        「やっぱり別れようよ蓮」「どうして」「だって…、だって…」「俺は別に木下さんのことなんとも思っ
                        てないけど」「そうじゃなくて、自信なくしたっていうか…」
                        言葉にならなかった。自信をなくした、それは確かだけどその続きがでてこない。仁菜子ちゃん
                        と蓮が最近仲いいから?それじゃあ、あたしの嫉妬じゃん。違うよ、もっと違うものだって思って
                        る。なんでこんなに言葉にしたいのにできないのかな。
                        「あれだよ、あたしなんかが蓮の隣にいていいのかなって感じ」「なんかって何、俺は名前以外
                        のこと考えたことないけど」「でも蓮モテるから、あたしなんかより可愛い子からも告白されてる
                        んでしょ?そう思うとさ、やっぱり不安になってくるんだあ…」
                        またあたしの我侭。ほんと、こんな女だから愛想つかされちゃうのよって、そんなこと自分が一
                        番わかってるんだけど、意地っ張りだからかな、素直じゃないのかな。
                        「あたしばっか蓮のこと好きみたいで、」「そんなことないと思うよ、俺だって、名前好きだし」「あ
                        たし我侭だし」「そういうとこも好き」「素直じゃないし」「それも好き」「全然優しくもないし」
                        嫌な女だな、あたし。それでも好きって言ってくれる蓮がやっぱり好き。手放したくないって思う。
                        もう、我侭炸裂し放題だな…迷惑めちゃくちゃかけてるよ。
                        「名前からの一方的なんかじゃない」「蓮…」「俺だって、名前のこと好きよりも大好きよりも愛して
                        るでも伝えられないくらい、名前がいい」「…蓮、顔真っ赤だよ?」「今こっち見んな、ハズい」
                        あたしよりもすごく背がたかくて、あたしの手をしっかり握ってくれる蓮。一方的、なんかじゃ…なか
                        ったな。やっぱりあたしは蓮がいいんだ。
                        「ほんと、こんな彼女でごめんね」「別に、俺はこんななんて思ってないし、全然だめじゃない」「もう、
                        蓮のせいで涙でそうだよー、ばかあー」「え、俺泣かせるようなこと言ったっけ?」「ばかー」
                        しょっぱい、涙ってこんなにしょっぱい物だったとは思わなかったよ。だけど、この涙は悪い涙なんか
                        じゃなくて、嬉しすぎて嬉しすぎて出た涙だから。
                        「あたし、蓮がすきだよー」「俺も名前が好き」




                                     






                                           ((だからずっと一緒にいよう))





あきゅろす。
無料HPエムペ!