[携帯モード] [URL送信]











          ことの発端はちょっと前、全てあたしが悪かったんだ
          っていまさら後悔しても遅いかな?



          「ごめん、付き合えない」



          今日、サッカー部の子に告白された。
          けれども即にあたしには彼氏がいた、
          サッカー部の子は二番目でもいいからとか
          すごくしつこく迫ってきた、この状況
          かなりヤバイって思って逃げ出そうと思った
          けど、やっぱり勝てなくって壁に押し付けられた。



          「なにすんの」
 
          「なんでダメなの」

          「だから、あたしには彼氏がいるって
           何度も言ってるでしょ」

          「成宮の何がいいわけ?」

          「は? わけわかんない」

          「だってあいつわがままだしさ、調子のってるでしょ」

          「あんたなんかに鳴の何がわかるって言うのよ!」



          コレが間違いだった。あたしの言葉は
          彼の気にさわってしまったらしく
          もっと彼を挑発してしまったようだ。



          「ねえ、今の状況わかってんの」

          「わかってるわよ、だから何」



          彼は急に笑い始めたと思ったら
          ピタリとやめてあたしの耳元でささやいてきた。
          やめてよ気持ち悪い、首筋に息がかかる、
          少しくすぐったかった。早く、早く来てよ鳴。



          「成宮が来るとでも思ってんの?」

          「あんたに関係ないでしょ」
 
          「そーいうキツイところがいいんだよね」

          「意味不明なんだけど」



          ダメだ、これ以上挑発しちゃいけないって
          わかってるけど、性格上の問題でやっぱり
          言わないなんて無理、早くきてよっ



          「稲実っ」

          「鳴っ!」



          屋上のドアが勢いよく開いて
          入ってきたのは愛しい彼。
          安心して涙でそうだよ、危ない。



          「てめぇその手離せよっ」

          「ちっ」



          鳴に言われるとすんなりと離してくれた。
          なんだよ、コイツ意外と弱い感じ?



          「稲実はおれのだ」



          サッカー部の彼は勢いよくでていった。
          結局何がしたかったんだろうか、
          そんな思いと共にどっとやってきた安心感。
          思わずその場に座り込んでしまった。



          「鳴」

          「なに」

          「…怒ってる?」

          「べつにー」



          怒ってる、確実に怒ってる。
          なんだよ、さっきまであんなに
          怒ってる雰囲気なかったのに。



          「あたしなんかやった?」

          「なんも」

          「…ねえ、ハッキリ言ってよ、わかんないんだけど!」

          「何で逆ギレするわけ? 怒ってないって言ってんじゃん」

          「怒ってないとか言っておいてめちゃ怒ってんじゃん!」



          耐えられなくなったあたしはその場から逃げた。
          教室に戻って反省してみれば、あたしが悪いにきまってた。
          その後はあんま調子がよくなくて友達にも
          心配されたけど迷惑かけたくなかったから
          大丈夫だよって言っておいた。
          だけどやっぱり重い、部活がこんなにしんどいとは
          思わなかった。しかも野球部のマネジだから
          鳴もいる、こういうときめっちゃきまずいんだよなあ。



          「雅さん、あたしちょっと偵察に行ってきます!
           監督に伝言よろしくお願いします!」



          たまたまいた雅さんに一方的に押し付けて
          でてきた、雅さんには物凄く悪いことしたな。
          偵察って言うのは嘘だし、実は青道にいる
          彼に会いに行くのが目的、浮気じゃないよ?
          相談しに行くの、只の相談だから。



          「やっぱり、稲実か」



          一也はすぐにあたしを見つけた。
          大きくなったなーって思った、久々に
          会う、懐かしいなんていう表現の気持ちが
          こみ上げてくる。



          「偵察だけじゃないんだろ」



          一也の一言であたしのなかが凍った。
          かくしてたつもりだったんだけど、やっぱり彼には
          お見通しだ。寧ろその目的だったからよかった。




          「実はね、喧嘩したの」

          「喧嘩?」

          「原因はあたしにあるんだけど、ほら、あたしって
           素直じゃないから、意地張っちゃって…
           すごくわかってるんだけど、なかなか謝れなくって」

          「稲実」



          一也に呼ばれた、瞬間一也の香に包まれた。
          それから始めて実感した、ああ抱きしめられてるんだって、
          だけどやっぱり一番は鳴だった。



          「ダメだよ一也、一也だっているんでしょ?
           あたしに鳴がいるように一也にも
           あたしの知らない誰かがいる」

          「でも、まだ稲実のことあきらめてない」

          「一也も鳴に似て来たね」

          「あいつと一緒にすんな」

          「あきらめ悪い男はモテないよー?」

          「大丈夫、十分にもててるから」

          「うわ、むかつくなぁ」



          一也はまだ諦めてはいなかった。
          彼女が出来たって聞いたから
          もうとっくのとうについたのかと思ってたのに、
          まだ諦めていなかった。
          けれどもあたしの中は鳴でいっぱいだから
          あの時と同じ、一也に告白された時も
          鳴が好きだった、だから断った。



         「一也のおかげで元気でたよ、
          頑張ってみるよ、素直になる!」

         「なんかあったらまたこいよ」

         「ダメだよ、さっきも言ったじゃん
          一也には大切な人が出来た」



          哲さんに挨拶でもしていくかなって言って
          あたしは一也と別れた。
          もちろん、そのあと哲さんのところには
          いかないで、我が母校に帰ってきた。
          一番に見つけたのは鳴だった。
          向こうも気づいたらしく駆け寄ってきた。



          「どこ行ってたんだよっ!」

          「ご、ごめん」
 
          「雅さんに聞いたら偵察に行くって、
           もしかしたら他の男のとこじゃねえのって
           言われて、心配で心配で」

          「ごめんね! 昼のことも反省してるし、
           今も鳴にだまって行っちゃったこと
           反省してる、ホントにごめん」



          また怒るのかなって思ったけど
          そんなことなかった。
          もっと別のことだった。



          「稲実」



          前にもあった、さっき一也に呼ばれたときと一緒だ。
          ただ、違うといったら一也じゃなくて、大好きな鳴だということ。



          「もう黙ってどっか行くなよ」

          「うん、行かない」

          「おれ、わがままだし、いっぱい迷惑かけると思うけど
           だけど離れて行くなよ」

          「うん、離れないよ
           っていうか自覚してたんだ
           わがままって」
 
          「う、うるさいなっ、今は
           黙って抱きしめられてて!」



          今日は一段と鳴がかっこいい。
          そんなあたしは、一也との再会で
          誰かが傷ついていたなんて思いもしなかった。










          
         ( やっぱり好きだよ )
















  
          稲実側のお話にしてみた
          やっぱり難しいね
          結局自分は何がしたかったんだろう
          それからサッカー部の彼も(笑)
          名前変換少なっ、ってか
          青道側の子でてないし、みたいな?

          @Reira/ぱこ/09.08.10






あきゅろす。
無料HPエムペ!