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-中三のころの話。

天気もよかったんであたしと鳴は授業をサボって屋上にいた。
鳴にいたっては昨日の賭けで負けたから罰ゲームとしてジュース一本買ってくる、という任務を忠実に果たしている、であろう←
ポカポカの太陽と冷たすぎでも暑すぎでもない、心地よい風。
だんだん睡魔に襲われ始めたあたしは、すてんと寝転がった。
体育の授業のランニングの掛け声が耳に入ってくる。
目を瞑ってそのまま寝ようか、いや、寝てしまえる、寝よう!と思ったとき、おでこに冷たいものがあたった。





「ひゃっ!?」
「ウケるー、名前の反応超おもしろかったー、もっかいやって」





冷たいものはきっと今鳴が手に持っているジュースのどっちかだろう。
むうっ、と不機嫌なあたしに対して鳴はお腹を抱えて大爆笑しながらもう一回と連呼していた。





「鳴の馬鹿」
「あ、言ったな。 いーもん、このジュース渡さねー」
「ちょっと、それズルい! 賭けにかったのはこのあたし!」
「じゃあ、じゃあね、鳴って呼んで」





きっとそんな鳴の発言にあたしはどんだけ間抜けな顔をしただろうか。
だって鳴なんてさっきだって呼んだし、普通に普段鳴って呼んでる。





「なんでー、普段から呼んでるじゃん」
「いいから、いいから!」
「・・・ ・・・ 鳴」
「うんうん! じゃあジュースあげる、どっちがいい」





何がそんなに嬉しいのかよくわからなかったけど、とりあえず目の前に出されたジュースを取ること最優先!
鳴が手にしている2本のジュースを交互に見る。
うーん、コーラも捨てがたいけどサイダーもいいなぁ、そんなことを思ってたら鳴がサイダーを渡してきた。





「とりあえず、名前サイダーね」
「え、強制?」






あたしの言葉はお構いなしで鳴は自分の手の中にあるコーラのふたを開ける。
プシュッっていう音が鳴った後、炭酸のシュワシュワという音が聞こえる。
あたしも開けよう、ぬるくなっちゃう。
でもコーラも飲みたかったなあなんて思いながらサイダーを一口飲んだ。
炭酸のシュワシュワが強すぎてむせそうになった、危ない。





「一口あげる、名前さっき迷ってたっしょ」
「あ、ども」
「名前のサイダーも一口頂戴」





なんだコイツ鋭い・・・とか思いながら今度はコーラを一口飲む。
シュワシュワと音をたてるコーラを見ながらあたしは間接キスだってつぶやいたら、隣でサイダーを飲んでた鳴が噴出した。 あたし変なこと言いましたか?





「サイダーが無駄に・・・」
「んな、もとはといえば名前が言うから」
「何を? そんなにおもしろいこと言ったっけ?」
「わー、あー、なんでもねーよっ」





鳴は顔をあたしから明らかにそらした。 後姿しか見えなかったけど耳が真っ赤だった。
屋上にずっといるから暑いのかな? あたしそんなに暑くないんだけどなー・・・あたしが変?
頭の中をいろんなことがぐちゃぐちゃしていた時、鳴がいきなり立ち上がってこっちを向いた。
いつものおちゃめっていうか子供っぽい雰囲気はなくって真剣な、男の子って感じの雰囲気だった。 鳴も大人になったんだなぁ。





「名前、俺、絶対に名前を甲子園に連れてくから!」
「・・・ ・・・ ・・・」





鳴の行き成り甲子園発言にちょっと戸惑って絶句した。 ごめん、ちょっとどころじゃなかったね。
でも、甲子園連れて行くって憧れてた言葉。 実際聞いてみてもやっぱいい言葉だなぁ、いきたいよ甲子園、連れて行ってくれるんでしょ甲子園。
いろんな思いがぐちゃぐちゃとまるで走馬灯のように頭の中を駆け巡る。





「好きだよ、名前!」
「あたしもっ! だから甲子園連れて行ってね!」





あの時の鳴の笑顔は今でも忘れない、忘れられないくらい、太陽に負けないくらいの輝きを持った眩しい笑顔だった。
野球をしてる鳴が好きだった、授業中寝てる鳴も好きだった、もう言葉に表せないくらい、鳴の全部がすきなんだよ!















「懐かしいなー、元気かなー」
「誰が」
「鳴ー」




ただいまあたしは青道高校の一年生で、鳴は稲城実業の一年生。
わー、辛いねーとかってあのころは言ってたけどこの世の中はケータイとかメールとかっていう便利なものがある。
それに九州と沖縄とかっていう感じじゃないし、むしろ同じ西東京なんだからまた会えるよっていう今の心境。





「稲実の試合みたいなー」
「名前の場合稲実じゃなくて、鳴特定だろ」
「そーなんだけどー」




うふふふふって笑ったらかずにキモイって叩かれた。
なんだよチクショーめ、普段は変態眼鏡とかバ一也とか言われてるのにー、こーいうときだけマジないよね。






「はあ、空は青いんだけどなー」
「だから?」
「・・・ ・・・ かず、ほんとウザイんだけどっ」





青空の向こう
(鳴頑張ってよねーっ)(雅さん! 今名前の声が聞こえた! 頑張ってって言ってた!!)



































あきゅろす。
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