[携帯モード] [URL送信]
[*1]








- 中二のころの話。

ソフト部のゆかり先輩に言われてはじめて気がついたこと。
あたしはどうやら男子のことを名前呼びしたことがないらしい。 ・・・ 鳴以外で。





「あたしも今、気がつきました」
「えぇ!? 自覚なし?」
「あぁ、いや、そんなこと考えたことなかったんで」
「でも珍しいよね、何か理由とかある感じ?」
「えー、とくに何も思い当たることとかないんですけど・・・」





ゆかり先輩はあたしと同じ投手で、我等がソフト部のエースナンバーを背負ってる先輩。
美人で、頭もよくて、しかも投げる球も速いしコントロールも抜群!
めちゃくちゃ尊敬する先輩! に言われたことは結構現実的な感じの・・・ ・・・ 話?





「んー、あっ! 二年間クラスが一緒だから、とか?」
「それもあるかもしれないけど、そしたら二年間クラスが一緒の人って他にもいるんじゃない?」
「あと誰がいたっけなー、猫バスじゃなくて宮田君も二年間一緒かー、あー、でも宮田君だ」
「じゃあ二年間一緒っていうのはボツだね」
「えーえーえー、他にはとくに何も思い当たることがないんですけどー」






そう言ったらゆかり先輩は綺麗にクスクスと笑った。
本当に美人だなー、いいなー、あたしもこーいう人になりたいなー、どーやったらなれるかなー?





「そのこに特別な感情を抱いてるとかは?」
「特別な感情? どーいうのですか?」
「(案外この子鈍いのかも) ふふ、わからないなら仕方ないね」





一生わからないままっていうのもいいかもよ? ってゆかり先輩に言われて結構ショックをうけたあたし。
あたしの頭が馬鹿だから特別な感情っていうやつがどーいうのか理解できなかったからゆかり先輩に見捨てられたんだー! いーやーっ!





「ゆかり先輩! あたし特別な感情っていうのをわかるようになりたいですっ!」
「ふふふ、じゃあまずわねー・・・」





この光景をゆかり先輩の彼氏である野球部の先輩と鳴が見ていたことは、
ずーっと、ずーっと、ずーっと後になってわかった。







(お前も、大変だな)(うぃっす! ・・・って、ええぇぇぇぇ)(お前の行動を見てるだけでわかるぞ)



















あきゅろす。
無料HPエムペ!