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◎イラつきと現実と


「あー…」

イライライラ。キリのないイラつきに苛まれる。昨日の今日で慣れる訳はなくて、朝もツナを置いて出てきたから奴の顔は見ていない。まぁどうせ見るんだろうけど。

「よっ、真琴」

「あー山本だ」

教室に入ってきた山本にひらひら、力なく振った手に心配そうな顔で覗き込んでくる。あれ、どうやら事情を知っているみたい。もしかしてツナが言ったのかな。相変わらず山本はいい奴でツナも僕も気兼ねなく話せるし、親友としては満点。

「あれ、山本は部活?」

大きな使い込んだスポーツバッグに目が止まる。頷く山本に真剣な野球部達には悪いけど、いい事を思いついた。野球といえばスポーツ。スポーツといえば僕は大の得意科目。ツナと正反対と言われるのも納得できる。でも勉強とかその辺は同じなんだけど。

「ねぇ、山本。僕も少し参加していい?」

「おう!真琴がいると逆に助かるぜ」

本当に良い奴だな山本は。実はストレス発散なんだよ、これが。全く気付いてなさそうな爽やかな笑顔に自然と僕の表情も綻ぶ。
それからホームラン連発した僕は自分の気持ちにも野球部員にも刺激を与えてかなり満足して家に帰ることにした。気分は爽快。

「あれ、」

帰ったはいいものの、ガランとして誰一人いない。お母さんとチビっこ達は買い物にいったとして、ツナはどこだろう。…またマフィア関係の事をしているのだろうか。少し脳裏を擦った現実。リボーンが来たあの日からツナと僕の間には一線引かれた感じがしていた。きっとディーノさんにイラつくのもツナを日常から引きずり出す人物だと理解しているから。

ただの嫉妬。現実と向き合いたくないだけなんだ。







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