◎イタリアからの訪問者
「ねぇ、ツナ。今日誰か来るの?」
いつもより綺麗に掃除されている家に不信感を抱きつつすぐさまツナの部屋に直行した。ツナの部屋は相変わらずで、呆れつつ着替えた後またツナの部屋で二人でゲームをしている。
「うん、ディーノさんっていって…」
「オレの元教え子がくるんだぞ」
ツナの言葉を遮って言葉を発したのはリボーンだった。いつの間にかかわいらしくちょこんと自分の膝に乗っている。気が付かなかったのは何時もの事だけど、少しびくりと肩が揺れた。テレビを見ながら訊く。
「その、ディーノさんって…マフィアの人?」
「ああ、当たりだ」
「真琴、あんまり噛み付くなよ…」
ぐさりっツナの一言が刺さる。睨むようにツナを横目で見れば苦笑いを返された。なんだよ、失礼だな。しょうがない、性格なんだから。
「いつまでも昔の僕じゃねーもん」
「ちったあ真琴も女らしくなれ」
反論の言葉も虚しく弾かれた。相変わらず辛口なリボーンに頬が引きつる。ついでにいつも勝つゲームも惨敗して行き場のないモヤモヤがすっきりしないまま心を曇らせていた。やがてお母さんの呼び掛けで下に降りれば、出来たての美味しそうな料理にお腹が鳴る。いつもの席に座れば、タイミング良く玄関のインターフォンが鳴った。
「久しぶりだな!リボーン、ツナ!」
目に飛び込んで来たのは金髪。もしやディーノさんとか言う奴なのか、少しびっくりした。向こうも驚いた顔をしている。やがてツナと僕を見比べて納得したのか近づいてきた。そして手を差し出される。
「オレはディーノ。ツナから聞いてるぜ」
「は?」
初対面なのに馴々しい彼に怪訝な顔をする。睨めば困ったような顔をしたから取り敢えず目の前の美味しそうなご飯を食べ始める。ツナに挨拶しろとか色々言われたからツナの嫌いな物を口に突っ込んだ。黙ったツナの頭を撫でる。いい子、いい子。
「まぁ真琴はこういう奴だから気にすんな」
「なんか、ツナと正反対な性格してんだな!」
「げほっ…すいません、ディーノさん」
***
「…そんな訳で暫く厄介になるな」
「一人増えたぐらいなんともないぞ」
「お前が言うなよ!」
三人の会話を聞きつつこっそり剥くれる。どうやらディーノさんとやらはイタリアから来て日本に用事があるらしく何故か沢田家に暫く居候するらしい。なんでホテルとかに泊まらないんだ…!マフィアということは金持ちだろう。並盛には高級なホテルもあるのに。そんなことを考えていたら、ぱちんっとディーノさんと目が合った。それにしても綺麗な顔だ。
「よろしくな、真琴!」
「…僕、先にお風呂入る」
なんとなく納得いかなくてそっぽを向いて席を外す。後ろの方でツナのディーノさんに対しての謝罪が聞こえたけど気にしない。リボーンからは相変わらずだなと言われたけどスルー。いつまでの居候か分からないのになんだか先が思いやられる。
こんな性格の自分もいけないんだけど。
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