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番外編
あの丘で
「わぁ〜!!
久々だねーww
いつぶり!?」


フィリアと冷は今、小高い丘の上に立っている。


「お前がいなくなる前ぶりだ」


小さい頃よく来ていた丘だ。




時は遡り3日前。




「悪ぃ、フィリア。
そこの本取ってくれ。」


冷が指した本棚はかなり埃を被っており、暫く使われていなかったことが目に見えてわかる。


「コレ?」

「あぁ。
頼む。」


結構ギュウギュウに入っていた本をやっとの思いで引っ張り出すと、横に入っていた本が一緒に落ち、床に当たると共に口を開ける。




「わっ!?
なにコレ?アルバム?」


そう。
落ちたのはアルバムで今から数十年前に撮られた写真が貼ってあった。


「そんなところにあったのか。
気づかなかった。」

冷も自らの作業を中断しフィリアの元へ寄ってくる。


「クスクス…
冷、ちっちゃ!」


一枚の写真を指しフィリアが笑う。
そこには冷とフィリアが写っておりカメラに満面の笑みを浮かべピースするフィリアの後ろから半分隠れて冷が覗いていた。


「っていうか、弱そうーーー!
私より3つも年上なのに〜!


「なっ!?うるさいなっ!!」


喚き散らしている冷をもう一度笑い飛ばしながらフィリアがページをめくる。




「「あ。」」


次のページに写っていた丘。
お互いの両親と涼とでよく訪れた場所だった。


「ねぇ、冷。
ここって今ぐらいにお花が満開で綺麗だったよね!!」

「そういえばそうだったな。
次の日曜にでも行くか。
俺も仕事休みだしな。」




ということで冒頭に戻る。




「でも、よく残ってたよね〜
御花畑も石も木もぜーーーんぶそのまま!」

一面に花が咲き乱れ、爽やかながら甘い香りが鼻孔をくすぐる。




大きな木の下に二人で座り、談笑を楽しみながら昼食を取る。
暫くしてフィリアがうつらうつら船を漕ぎ始める。


「寝とけ。
疲れてんだろ。」

「ん…
ゴメン…」


冷はその隣で読書を始める。




「れ…ぃ…
だいす…き…」


ぽつりと漏れた寝言に“ふっ”と笑みをこぼす。


「俺もだよ…

  また、そのうち来ような。」



「……ぅん……」






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