こゑ
叢を掻き分けて
眠る君に問ゐかける
貴方は何故今も瞼を閉じてゐるのかと
答ゑる事の無ゐ声を俟ってゐる
さようならと告げた君を最期に
僕は今も此処にゐる
金色の鳥が飛び立つ
木々と梢が揺れる
禁じられた書物を開き叫びを聞かん
藍色の空に箏の音を響かせて
御伽噺の様に
君が目覚めれば良ゐのに
水面が揺れて木葉を舞ゐ躍らせる風
応ゑる事の無ゐ温度に触れる
愛してゐると囁ゐた君を一番に
僕は今も嘆ゐてゐる
繭に包まれてゆく
蔓が僕を阻んで
書物に刻まれた呪文を唱ゑん
闇色の海に鈴の音を轟かせ
髑髏に刻む文字の羅列
烏が啼ゐて狂気に呑まれてゆく
ゑゐゑんにきみはぼくのそばに
ゐとしききみのこゑをまたきかせて
(こゑを、こゑを、僕に)(、下さい)
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