Chamelaucium
×柳と仁王
頭ごなしに怒鳴り付け、批判し否定する。集団の最低を基準として群衆を指摘する。マイクを通して体育館中に響く、苛立ちを含んだ声はまるで自分の上に人は居ないのだと誇張しているようでとても不愉快だ。まだ成熟しきっていない学生達にとってそれはあまりに邪魔な存在でしかなかった。
俺にとっても。
何時だって損をするのは真面目で誠実な人間なのだ。引き際を知っている人間は自分のテリトリーを守りつつ最悪な事態をかい潜ってやり過ごす。だが真面目な人間はそれが下手だ。引き際を知っていても真面目が故に実行できずに面倒事を引き受ける羽目になる。
何時だってそうだ、例え愚かな教師の言葉のひとつひとつにだって反応してしまう自分が嫌いだ。そんなもの、ただ犬が喚いているだけだと思えばいいものを。自分が嫌になる、何故こんなにも面倒臭いのだろう。いっそ何も考えないでいられたらいいのに。
「でもそこが参謀のいい所じゃ」
「そうだろうか」
「ん、」
静かに仁王は頷いた。しかし何故だろう、俺には彼という人間がよくわからない。こんな面倒な性格のどこが長所に捉えられるのだろうか。俺にはよくわからない。
「そうやって一々真面目に考える参謀は可愛かよ」
…本当にわけがわからない。
俺は羨ましいの
その素直な心に
嫉妬している俺
は他人の言葉を
素直に受け止め
るなんてできな
いむしろその面
倒な程の性格に
恐怖を覚えてい
るのだろうその
計り知れない頭
蓋骨の中の物に
失踪する理性
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