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少年に告ぐ


×甲斐と凜








甲斐くんは馬鹿である。箸の持ち方はなっちゃないし食べ物はボロボロこぼすし汚いし口に食べ物入っているのにベチャクチャ喋るし授業中もずっと喋ってるしそれか一人で練り消しを練っている。小学生から成長していないような彼の行動は女子にしてみればそれはそれは可愛いらしい。ただの汚いガキじゃないか、何それ今流行ってんの?女の子の考えていることはよく分かりません。そんな彼でもちゃっかり青春しているようで、よく彼女の惚気を聞かされます(ぶっちゃけうざいししつこいので聞いていません)。そしてそして童貞まで卒業しちゃったらしいです。俺ですらまだなのに!とても生意気だと思います。でも甲斐くんは恋愛に対してはとても大人な考えをするのです。俺はそれに気付いたとき「こいつ本当はすっげー天才なんじゃねーの」とか思ったけど、その後すぐ彼女に餌付けされている彼を見たらやっぱり間違いだと思いました。ややこしや。








おや、あそこにうずくまっているのは甲斐くんではないですか。花壇の前で何をしているのだろう、というかあいつすっげー目立ってる、とりあえず帽子とれよ。


「何やってんの」
「シロが動かねーの」
「シロ?」
「こいつ」


そう言うと彼は腕に大事そうに抱いた白い子猫を見せてきました。


「ねえなんで動いてくれないんだろう」


って。だって、もう死んでるじゃんその猫。「シロ?ねぇシロ」って何回も呼び掛けています。


「凜、何でシロは返事してくれねぇんだろ」
「…お前、それ正気?」
「え?」
「………死んでるよ、そいつ」



たまらなくそう言うと彼は子猫をじっと見つめて「そうなんだ」とポツリと呟いた。あーやばい、泣くかなとか思ったけれど、意外と泣かない、それどころか「なんで死んじゃったの?なーんて聞いてきました。ゴン、と俺の後頭部を殴られた音がした、ちょっとそれ本気で言ってんの?お前もう15歳だろ、ありえねぇ。何でセックスのやり方は知ってて生き物が死ぬってことを知らないの?



「しょうがねーんだ、生きてたらいずれ死ぬんだ」
「…そんなのいらない」



ポタリ、ポタリ ああああああとうとう甲斐くんは泣き出してしまいました。震える
肩はなんだか酷く幼く見えました。もしかして俺のせいなのか。めんどくさいめんどくさい。


「な、せめてさ、そいつ埋めてやろ」
「…………うん」


俺はこの面倒臭い事態を打開すべく彼に提
案しました。すると甲斐くんはぐすぐすと鼻を鳴らしながら動き出しました。制服で鼻水ふくんじゃねえよ。「うっし!凜も手伝えよ」さっきまでぐすぐす泣いていたのが嘘みたいに笑っています。しかも手伝えってお前、素手で穴掘りはねぇだろ。見ると甲斐くんの爪の間にはびっしりと土が入り込んでいて、まるで穴を掘るのが大好きな犬のようです。眩しいくらいに白いYシャツから伸びる腕は日に焼けた小麦色をしていました。



「なあなあ、シロはちゃんと星になれるかな」
「…は?」
「死んだから星になるんだろ?今日見れるかなー」



ゴン、またしても俺の後頭部には殴られた。何で死ぬことは知らないのにそんなこと知ってるの?矛盾しすぎではないですか?ああ、甲斐くんは本当に馬鹿である。










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あきゅろす。
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