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美しきも儚く散れ


×赤也




柳さんは綺麗だ。ご飯の食べ方も箸の持ち方も歩き方も姿勢も手足も喋り方も頭の先から爪の先まで余すことなく綺麗だと思う。浮世離れしてるっていうんだっけ?よく覚えてないけどそんな感じ。とにかく俺はこの人に触ってはいけないんだと思った。近付いてはいけない、まるで神様を直視してはいけないかのような危機感を覚えた。ただの中学の先輩なのに、おかしいと思った。でも柳さんを見ていると不思議とそう思えてくるのだ。彼は何でも知っている。俺の知らない事はすぐ教えてくれるし知らない漢字だってすらすら流れるように書いて示してくれるのだ。そういえば柳先輩の動きには隙とか無駄とかそんな無駄なものは一切ない。字だって無駄な力をいれずにさらさらと水が流れるように書いていく(俺なんか筆圧高すぎて字が滲んでしまうのに)。体にだって無駄な脂肪なんかひとっつもついていなくて、むしろ折れてしまうんじゃないかと思うくらい細い。そのか細い体でよくあんなにテニスができるなと密かに疑問に思っているくらいだ。本人が密かに気にしている顔立ちだって、俺はすごく綺麗だと思う。すっと通った鼻筋に切れ長の目、きめ細かい白い肌、まるで骨董のようだ。俺は柳先輩に触れてはいけないんだ、だって、こんな俺が先輩に触れたら先輩が汚れてしまうでしょう?俺の憧れの先輩をそんな形で失いたくない、これは愛情とかじゃなくて崇拝なんだ。俺は柳先輩を敬っているんだ。ねぇだから、俺をそうやって甘やかすのやめてくださいよ。






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あきゅろす。
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