おばけ
おとうさんもおばけでおかあさんもおばけで、ぼくもおばけだから、しにます。
「だーってさ」
「うわ、類い稀なる文才。日本は未来の希望をまた1つ失いましたね」
「馬鹿いうなよ、勝手に死んでくれてありがとうだろ」
「確かに」
「死んでないと思うけど」
「何日で忘れて帰ってくるかな」
「3日だな」
「じゃ、こっちはあと1時間に賭ける」
「ギャンブラーめ」
おかあさんはぼくがきらいだからぼくにいろいろなものをかけます。それはみずだったりあぶらだったりせんざいだったりはいだったりごみだったり、たまにいもうとのおぶつだったりします。おとうさんはそれがうらやましいのか、そんなぼくをなぐります。なぐってちだらけのぼくにどうかしたの?って笑いかけながらひをおしつけます。あたまがおかしいのかなっておもったけど、ちがいます。おとうさんもおかあさんもおばけで、だからしかたないんです。
「ただいまー……って、あれ? どうしたんだよ2人ともそーんなに渋い顔してさぁ」
ぴったり1時間後、傷痕だらけの少年は、唯一傷のなかった(おばけは面食いだったらしい)綺麗な顔を綻ばせる。
「あー、おかえり」
「死んだかと思ってた」
いつになったら壊れるのかと、それを恐れるようにしかし待ち望むように、2人は無理矢理笑った。
壊れたおもちゃと
それからのぼくたち
(おばけはこわいからしっかりしばってあぶらをかけてひをつけました)
(おばけはわらいながらしにました)
(でもきづいたんです、ぼくもおばけなんだなって)
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