「鋼の、これに願いごとを書きたまえ」

縦長の色紙(確か短冊と言う)を鋼のに渡す。
鋼のは意味が分からないといった風に、顔をしかめた。

「とある国で今日は七夕といって、これに願いごとを書いて笹に吊すと、願いごとが叶うと言われているらしい」

「非科学的だな。そんなんで叶ったら苦労しないっての」

紙をペラペラとさせながら、ソファにどかりと座る。
確かにそれだけで願いごとが叶ったら、世界征服なんていとも簡単にできてしまうだろう。

「まぁ、偶にはこういうのもいいじゃないか。ほら、書きたまえ」

ペンを渡せば面倒くさいといった顔をしながら何かを書き始める。

「それで大佐は何を願うんだ?やっぱ大総統になれますように?」

「いや、私の願いは"鋼のが幸せになれますように"だ」

短冊を見せながらにっこり笑えば、鋼のの眉間の皺が濃くなる。
予想通りの反応だ。

「人の幸せ願う前に自分の幸せでも願えよ」

「君の幸せが私の幸せだからこれでいいんだよ」

「あっそ」

短冊とペンを私の机の上に置く。
書かれている願いは『アルの体を取り戻す』だ。
もしかしたら私とのことを書いてくれるかと僅かな期待もしていたが、実際こんなもんだろう。

「資料室にいるから」

それだけ言い残してさっさっと出て行ってしまった。
久々の再開なのに、なんとも素っ気ない。
鋼のらしいと言えばらしいが。

笹がない代わりに、どこかに吊そうかと思い短冊を持つと、光で透けて裏にも字が書かれていることに気付く。
裏に書かれたものを読んで、思わず顔がほころんだ。



―大佐が幸せになりますように―



Fin




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