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「鋼の…起きなさい」

まだ半分寝ているような顔をしながら体を起こせば、目の前にいたのは黒髪に同じ色の瞳をした人物だった。

「あっ、ごめん。寝ちゃった…」

「いいよ。長旅で疲れてたんだろ?」

エドは久々に旅から戻り、ロイの家に訪れていた。
そしてロイが夕飯の支度をしているのを待っている間にいつの間にか寝てしまっていたのである。

「大佐だって仕事で疲れてんだろ?」

お互いに疲れている事には変わり無いのに、自分だけ寝てしまって事に申し訳無いと思っていると、優しく頬を撫でられた。

「疲れなど君の顔を見たら吹き飛んでしまったよ」

「…バカ」

エドは照れて顔を赤くさせながも、手の暖かさが気持ち良くて自らロイの手にすり寄った。

「そんな可愛い事をすると先に君を食べてしまうよ?」

くすりとロイが微笑みながら言えば、エドは更に顔を赤くさせて手からパッと離れた。

「さっ、ご飯にしようか」

「おぅ!」




たわいもない会話をしながら夕飯を食べ、エドは先に風呂を済ませ寝室でロイが出て来るのを待っていた。
もう何度か体を重ねてきたが、恥ずかしさは無くならない。それとも今からする行為が分かっているからこそ恥ずかしさが増すのだろうか…
エドがドキドキしながらベッドの端に腰を掛けていると、ガチャッと音を起てながらロイが入って来た。

「待たせたね」

そう言いながら近付いてくるロイはエドと同じようにバスローブ姿で、風呂上がりのせいもあって余計に色香を漂わせていた。
エドはぶんぶんと顔を横に振り、その後はロイを直視出来ずに俯いていた。

「はが…エドワード」

ロイはエドの顎に手を掛けて上を向かせると、そのまま優しく深く口付けた。

「ん…ふっ…ぁ」

開かされた口の隙間から入ってきた舌に歯列をなぞられ、舌を絡ませられる。
離された二人の口はどちらのものかもわからないような糸で繋がっていた。

「はぁ、はぁ…いきなりしてくるなよ」

「我慢がきかなくなってしまってね。続きをしてもいいかい?」

いちよう同意は求めてくるものの、答えを返す前には既にバスローブの間から手を胸に這わせていた。
こんな状態で断れる筈が無い。いや、初めから断るという選択肢はエドの中には存在しなかった。

「勝手にしろ…」

そんな憎まれ口を言えば、 くすりと笑いながらそうさせてもらうよと手を進めた。

「あっ…ん…ぅあ…はっ」

ロイが指でエドの胸の飾りを弄れば、その度に甘い声が洩れる。
ぷっくりと立ち上がったそこを口に入れれば、体をビクッと反応させた。

「んぁ…ゃ‥あ…なん、で…そこばっ、か…」

ロイは胸だけを攻め立てて、既に存在を主張し始めているエド自身には全く触れようとしない。

「おや、もう限界かね?」

平然とした声でそう問い掛けられれば、一人だけ余裕が無いようで恥ずかしさが増す。
そんな反応を楽しんでいるのだからこの男は性格が悪い。
むーっと睨み付けていれば、急に自身を握られた。

「そんな顔をしたって誘っているようにしか見えないよ」

「あぁ…ッ…ん…くぅ」

手を上下に動かされれば、待っていた快感がエドを襲い、先端からはとろとろと先走りが流れる。

「ぁ、ふ…で‥る…ッ」

ロイが先端に爪をたてれば、エド自身からは勢いよく白濁色の液が放出された。

「溜まっていたようだね。一人でしなかったのかい?」

「しない…大佐がやった方が気持ちいし」

エドが素直に答えれば、ロイは驚き目を見開いた。

「全く君はいつも不意打ちで私を喜ばせるような事を言うね」

「うっさ…あッ!?」

言い返そうかと思えば、言い終わるより早く秘部へと指が入れられた。
ロイは堅く閉ざされたそこを傷つけけないようにゆっくりと解かしてゆく。
指をだんだんと増やしていけば、エドからは甘い声が絶え間なく漏れる。

「ぁ…ん…はっ‥あぅ…早、く…た、ぃ‥さの、ちょう…だい」

「全く本当に今日は素直だね」

いつもなら強要でもしない限り言わないような事を言ってくるエドに、ロイは驚きと嬉しさを感じながら指を引き抜くと、自身を取り出し秘部へと入れていく。

「はっ…んぅ‥あぁ…」

ロイは誘われるようにゆっくりと腰を進めていく。
先ほど解かしたいってもそこは本来受け入れる場所では無い。
そこはエドの意思とは関係なく、ロイをグッと締め付けた。

「くっ…キツいな…」

全てを入れ終えたロイは入れているだけでイってしまいそうな締め付けに、グッと我慢しながら腰を上下に動かし始める。

「はっ、んぁ…あぁあ…」

エドは限界が近いのか、風呂に入って湿ったままの髪を振り乱しながら頭を左右に振る。

「あっ…はぁ…もっ、む…り」

「一緒にイこう…」

ロイはギリギリまで引き抜くと、エドの最奥を一気に貫いた。

「あぁぁぁぁ…―――」

「くっ…」

エドは背を反らせて内股をびくびくと痙攣させながら自らの腹に欲望を撒き、ロイはエドの中へと注ぎ込んだ。

「愛しているよ…」

「オレも…」

ロイはエドの顔に掛かっている前髪を分けてやると、額にキスを落とした。







次の日、エドが目を醒ますと外はまだ薄暗かった。
体は寝ている間にロイが拭いてくれたのか綺麗になっていた。
エドはまだ隣で静かに寝息を起てているロイの髪に手を伸ばした。
もう乾いていた髪はさらさらとエドの手を滑った。


帰って来た時はいつも優しく迎えてくれるあなた…
時には叱咤し、突き放す…
それでも何時も暖かい目で見送ってくれる……

あなたの傍にいるだけでオレは幸せになれる
願わくばこの時間が永久に続きますように…


「愛してるよ…ロイ……」




Fin

織葉様のみフリーです。


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