久しぶりに戻った司令部。季節は冬本番。天気予報では夜から雪が降ると言っていた。
確かに今日は寒い。
だが、だからと言ってこの格好は如何なもんだろうか。

「しょーがねぇだろ。暖房故障してんだから」

体型がわからない程に着膨れ、まだ寒いと連呼しているハボック少尉が暖房器具の故障が悪いんだと訴える。
だが暖房器具の故障で寒いのはみんな一緒だ。それに使ってなかった物を引っ張り出してきたのだろう、小さいがストーブは置いてあるし、大騒ぎするほど部屋の中は寒くない。現に、着込んでいるのはハボック少尉だけで、他のみんなはいつもと変わらないか、上着を引っ掛けている程度だ。

「相変わらず極度の寒がりだなぁ」

有事の際には問題なく動くらしいが、この様子だとその話すら信じがたく思える。
どれだけ着込んでるのか確かめてやろうと思い近付くと、グイッと腕を引っ張られた。

「あったけー」

「人を湯たんぽ代わりに使うな!」

文句を言っても聞く気はないらしい。
オレを膝の上に乗せ、ぬくぬくと暖をとりながら仕事を再開する。

「大将も暖かいし一石二鳥だろ?」

「オレは少尉ほど寒がりじゃないし最初から平気だっての」

とは言ったものの、暖かいことに違いはない。
体は勿論だが、久しぶりに間近で感じる少しタバコ臭い少尉の匂いと体温に、心が暖まる。
そのままうっかり寝てしまい、つられてうたた寝した少尉が中尉に起こされたのは、それから30分後のことだ。



Fin




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