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殺戮人形




その日、綱吉たちは沢田宅へと集まっていた。

呼び出したのはもちろん、リボーンだった。



「汀目愛織についてだ」

そう言えば、三人は一斉にリボーンに向けて身を乗り出した。

「あいつのこと知ってるんですか!?」

だが、その期待に反してリボーンは「いいや」と首を振った。




「あいつが消えてからはさっぱりだ。どんなに調べても履歴が一切出てこねえ。…こりゃ何かあるぞ」

深刻そうに言うリボーンに、綱吉たちは顔を見合わせると、今日あったことを話し出した。

ー今現在、ザンザスたちヴァリアーを倒した自分たちでも、とても敵う気がしなかったと。




「…そうか」

リボーンは話を聞いてしばらく黙り込むと、ゆっくりと頷いた。

「オレも調査を続けてみる。ボンゴレの方にも要請したから数日後には返事が来るはずだぞ」

「じゃあ今日はここまでだな。じゃあな、ツナ」

そう言って他二人は立ち上がったが、その瞬間綱吉が「あ…」と声を上げた。




「どうかしましたか十代目?」

「そういえば…紺野さん、変なこと言ってたなって」

「変なこと?」

その言葉に、二人はもう一度腰をその場に下ろした。




「よく覚えてないけど…ぜろ、なんとかって」

はっきり思い出せないようで、首を捻る綱吉の横で山本がぽん、と叩いた。

「ああ、それオレも聞いてたぜ!確かざろさきがどうとかー…」

山本は、そこから先の言葉を発することが出来なかった。
普段何があっても表情をあまり変化させないリボーンが、手に持っていたコーヒーカップを、がしゃんと落としたのだ。



「リ、リボーン?」

驚きで固まる三人に、リボーンは放心したかのように俯いたまま動かない。

「どうしたんだよ?」

あわてて零したコーヒーを片付ける綱吉に、リボーンは漸く口を開いた。

「…今、零崎って言ったか?」

「あ、ああ…」

「オレもあの時、確かにそう聞こえました」

全員が頷くと、更にリボーンはしばらく黙り込んで続けた。





「…聞き間違えであることを祈るしかねーな」

「え?」

冷や汗を流し、やや震える声でそう呟くリボーンに、三人は不思議そうな表情を浮かべている。
無理もない。
こんな表情のリボーンは、今まで初めて見たのだ。

「零崎って、何かあるのか?」

「…オレも、はっきり言って全然知らねーんだ。ただ、九代目からちらっと聞いたことがある」

リボーンは首を振った。
そして、再度口を開く。









「『零崎には手を出すな』…それだけだ」










それ以上、リボーンは何も語らなかった。







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