novel 青竹色の願いを拒め2† 「…ほう」 「願い事ってのは、神だろうが星だろうがそいつを他人に預けて、いつか叶うのを期待して待ってることだろ。オレにはンな受け身は性に合わねぇ」 「それがてめーの答えか」 「たりめぇだぁ。ただ待ってるくらいならオレは欲しい物は自分で手に入れる」 ニタリと笑って、スクアーロは見上げたザンザスの肌に生身の右手を触れさせた。つい数刻前まで身体を重ねていたのだから、当然お互いに服は身に着けていない。 無断で肌に触れても拳が落ちてこないのを確認すると、スクアーロはするりと手を滑らせた。 覚えのある歯型の跡がついた鎖骨から逞しい胸元を辿り、引き締まった腹部をなぞって叢の中で微かに目覚めかけているザンザス自身に手を伸ばす。 ぴくりとそれが反応したことに満足気な吐息を零すと、スクアーロは男を誘い込むようにゆっくりと脚を開いてみせた。 「オレぁ今こいつが欲しい。…くれよ、ザンザス」 珍しいスクアーロからの誘いに、ザンザスも興味をそそられたらしい。淫乱ザメが、と罵りながらスクアーロの両脚を更に限界まで開かせて圧し掛かってくる。 「んっ…」 腫れぼったく熱を持ったままの後孔を男の屹立が無惨に切り開いていく。先に注ぎこまれていた白濁がくちゅりと音を立てて溢れ、繋ぎ目から太腿を伝って流れ出した。 「や、もっと…」 突き入れる角度を変えるようにザンザスが一旦身体を離すと、スクアーロの口から思わず切なげな声が洩れた。 その浅ましい媚態を嘲笑って、男がぐっと身を屈めスクアーロの耳元にどろりとした蜜のような囁きを落とす。 「そいつはオネガイじゃねーのか、ドカス」 「あ゛あっ!」 ずんと一度だけ叩きつけるように突き上げ、ゆるゆると腰を揺らしながらザンザスがスクアーロの反応を試すように焦らしてくる。 「んっ…ぁっ…」 人の言葉をあげつらいやがって、まったくタチの悪い男だ。 スクアーロはギリギリと奥歯を噛み締め、悔しげに男を見上げた。だが、どうせ答えるまでこのまま焦らすつもりなのだろう。男の満足する答えを返さない限り、永遠に欲しい物は与えられない。 ならば、自分で手に入れてやる。 有言実行とばかりに、スクアーロはすらりと伸びた脚をザンザスの腰に絡め、力の入らない両手を首に回して男の耳元に唇を寄せた。 「こいつはオネダリ、だぁ。はやくお前の熱くて太いモノで、オレの中をぐちゃぐちゃに掻き回してイかせてくれぇ…」 濡れた吐息を吹きかけるように言葉を注いで、伸ばした舌先でねっとりと耳朶を舐る。 「ぶはっ!上出来だ。今夜は特別にオレが施しをくれてやる」 「あ゛あっ!んっ!あ、ふ…んぁっ」 心底可笑しそうに笑ったザンザスが、嬲るように腰を叩きつけてくる。途中に潜む弱点を張り出した亀頭でごりごりと擦られると、たまらない心地良さに鼻に掛かった喘ぎ声が洩れた。 唐突に羞恥が込み上げ、スクアーロは自身の痴態を締め出すようにぎゅっと目を瞑った。閉じた眦に雫が溜まって、つっと熱い雫が頬を伝い落ちていく。 悲しみではないそれの感触が、今はただ愛おしくて堪らなかった。 今宵どれほど待ち望んでもカササギが現れることはないだろう。 天に架かる星筋の距離を忌み、零れ落ちた涙は催涙雨となって今も地上を濡らしている。 ああ、そうして知るがいい。 一年に一度許された二人の逢瀬。その得難い幸福の意味を。 願いなどという甘い言葉でさえ呼べぬ幻を抱き、ただ一人を待ち続けた長き歳月の覚悟を。 Fine. [*前へ][次へ#] [戻る] |