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novel
Grilletto†/リボスカ


 数千光年先で燃え尽きた星の残骸さえ覆い隠すように、分厚い黒雲が闇を支配する。
 古びた城壁の隙間に全身を溶け込ませていたリボーンは、酷く粗雑に消された気配が近付いてくるのを感じ口の中で小さく舌打ちした。
 やがてすぐ傍らで止まったその気配がキョロキョロと無防備に周囲を見回し始める。音もなく伸ばした腕で首根っこを引っ掴み、リボーンはその影を暗がりへと引き摺り込んだ。
「おわっ!な、なんだなんだっ!?」
「騒ぐな。素人かてめぇは」
「リボーン先輩っ!」
 ひっ、と思わず息を呑んだスカルが、リボーンの姿を見止めて更に悲鳴を上げかける。じろりと睨み付けてそれを黙らせ、リボーンはようやく手を離した。
「このオレを待たせるとはいい度胸じゃねぇか」
「いや、これには事情が…」
「仕事する気がないなら帰れ。ここはガキの遊び場じゃねえんだ」
「なっ、なんだその言い方は!オレだって選ばれた7人、イ・プレシェルティ・セッテだぞ!」
「だったら気配くらいマトモに消してみせろ」
「うぐっ…!そ、それは…」
 珍しく言い返さずに口籠もったスカルにもう一度舌打ちして、リボーンはくいっと顎をしゃくってみせた。
「とにかく今日は帰れ。もともと、イ・プレシェルティ・セッテとして受けた依頼じゃなけりゃオレ一人で十分な仕事だ」
「そうはいくか!帰れって言うならそっちが帰ればいいだろ!」
「…物分りの悪いガキだな」
「んぎゃあ!」
 突然無造作に両脚の間を掴まれ、スカルは辺り憚ることなく叫び声を上げた。このまま握り潰されるんじゃないかと思うくらい容赦なく力を込められ、涙目になってリボーンの肩をバシバシ叩く。
 すると不意に、ただ嬲るだけだったその手が動きを変えた。痛めつけたそこを労わるように優しく包み込まれ、布越しに敏感な先端を押し潰すようにして揉み上げられる。
「なっ!ちょ…、…んあっ」
 驚きに抵抗を忘れた一瞬を突いて、巧みな手技がかつて味わったことのないほど強烈な快感を生み出していく。思わず鼻に掛かった甘い声が漏れて、それが自分の声であることにスカルは愕然とした。
「うそ、だっ…、や…それダ、メ………ああっ!」
 自覚した途端、瞬く間に絶頂へと追いやられ、スカルは絶望にも似た声を上げて本能のままに欲情を吐き出していた。ぺたりと地面に腰を落とすと、じわりと濡れた感触が下肢に張り付いて気持ちが悪い。
「早いな」
 くくっ、と頭上から嘲笑が降ってきて、スカルは反射的にキッと顔を上げてリボーンを睨み上げた。
「なに、するんだよっ…!」
 半べそをかいたような情けない顔で睨まれても迫力の欠片もありはしないが、それを見てリボーンが微かに口端を上げる。面白い玩具でも見つけたようなその視線に、スカルは気付かなかっただろう。
「これで分かっただろう。ガキはママンのとこにでも帰んな」
「やだっ!絶対帰るもんか!」
「腰も立たないくせによく言うぜ」
「うぐっ!」
 リボーンの言った通り、初めて他人の手で無理矢理イかされた身体にはまだ甘い気だるさが残っていて、思うように立ち上がることも出来ない。この状態で付いて行ったら本気で足手纏いにしかならないだろう。悔しいことこの上ないが、その程度の状況判断は出来る。今日の任務はリボーンに任せるしかない。
「ち、ちくしょう…っ!」
「フン」
 悔し涙さえ浮かべるスカルを鼻先であしらって、リボーンは音もなく闇の中へと身を翻した。はっと思ったときにはもう気配は完全に消え失せている。ギリリと奥歯を噛み締めて、スカルは心の奥でリボーンへの復讐を誓った。


 するりと影に身を寄せると、リボーンの耳に聞き覚えのある声が届いた。
「意外だな。お前があのスカルにあんな気遣いを見せるとは思わなかった」
 凛とした女の声。名は確か、ラル・ミルチとか言っただろうか。視線は外の気配を窺ったまま、リボーンは低めた声で問い返した。
「なんのことだ」
「スカルの右脚、微かにだが動きがおかしかった。大方スタントの仕事でヘマでもやらかしたのだろう。いくら不死身のスカルとはいえ、任務には万全の態勢で挑まなければ命を落としかねない」
「ほう、そいつは気が付かなかったな」
「…そうか。ならばいい」
 遠くから聞こえてきた話し声に、リボーンはすっと呼吸を整えた。闇に姿は見えないが、傍らでラル・ミルチも戦闘態勢に入っているのが分かる。
「くだらねえお喋りの時間は終わりだ」
「ああ、行こう」
 懐から銃を取り出し、リボーンはカチリと撃鉄を引き上げた。


Fine.



念の為18禁。妄想の上では20禁超。←


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