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novel
煤色の世界を謳え†


 鮫肌なんて言葉もあるが、少なくともそれに関してはこの男に相応しくない。
 手の平に吸い付くように滑らかな肌をなぞって、ザンザスは首筋から背中、下肢へと順よく辿った。
「んっ、あっ…は…っ」
 しなやかな筋肉が手の下でぴくりと震えるたび、ザンザス自身を包み込んでいる肉襞が柔らかに溶けてくちゅりとひくつく。
 細身ながらもしっかり鍛えられた身体には一切の無駄がなく、特に剣を振るう左腕は硬く締まっているくせに力を込めて握ると丁度良い弾力があった。
「お、い…ザンザス、腕はやめ…っ」
 ぎりりと力を込めた手に握り潰されるとでも思ったのだろうか。うつ伏せのまま喘いでいただけのスクアーロが必死な様子でこちらを振り返ってくる。
 そんな縋るような顔をされると、いっそ二度と使い物にならないくらい焼き切ってやろうかと凶暴な考えが浮かぶ。
 だが、まだこの腕には使い道があった。今は使えるコマを増やすべき時だ。
「ふん」
 つまらなそうに手を離して、代わりに後孔へ埋め込んでいた肉棒をぐっと押し上げる。
「う゛ぁっ!」
 限界以上の奥まで先端が届いて、無惨に開ききった蕾の入り口にザンザスの叢が触れた。そのまま捏ね回すようにして腰を動かす。
「あっ、あっ、あっ、んっ……ふぁ…あっ、あっ」
 太い雁首でぐりぐり抉られるのが気持ちいいのか、スクアーロはうっとりと目を閉じて与えられる快感に浸っている。
 気紛れに前にも手を伸ばしてやると、だらだらと蜜を零していたそこが嬉しそうにひくりと震えてザンザスの手を濡らした。
 息一つ乱さず、本能のままに腰を突き上げる。
「…はっ、ふ…ぅあ……は、…ぁ…んぅ…」
 不意にくずおれたスクアーロの脚が、膝立ちしているザンザスの太腿に触れた。
 その冷たさに、動きはそのままで一瞬目を見開く。
 背後から抱いているから、ザンザスの表情はスクアーロには分からなかっただろう。
 心地良さそうに腰を揺らして吐息だけで喘いでいる。
 …低体温、とでもいうのだろうか。
 鮫の名前が指すとおり、この男は海洋と同じ程度の体温しか持ち得ていないのかも知れない。
 中はこんなにも、熱くなっているのに。
「…カスザメが」
「んぁっ…、あ…?」
 何故か妙にイライラして、ザンザスはぐっと身を屈め、スクアーロの肩に噛み付いた。
「ぐあ゛ぁぁぁぁっ!」
 肩に激痛が走ると同時に、更に奥へと押し込められた肉棒がイイところを突いたのだろう。
 絶叫を迸らせながら、スクアーロは自身の蜜口から大量の飛沫を飛び散らせた。
「て、めぇ……なにしやがんだぁ…!」
 眦に涙さえ滲ませながら、スクアーロが痛みと快感に呻いてザンザスを見る。
「生きてやがったのか、カス」
「はあ゛ぁっ!?」
 意味わかんねぇよ!当たり前だろうがクソボスがぁ!と罵るスクアーロの肩口から、じわじわと鮮血が滲み出している。
 口の中に残る生ぬるい感触に眉をひそめて、ザンザスはぺっと血の混じる唾液を吐き出した。
「う゛っ!」
 ぴしゃりと、それがスクアーロの顔面を直撃する。
「…てめぇ…」
 スクアーロのこめかみが引きつって、細く切れた眼光がきっと釣り上がった。
 今にも鋭い牙を剥き出しにして獲物に襲い掛かる鮫のように。
「ふん、ドカスが」
 沸々と直接肌に触れる獰猛な生き物の気配に気を良くし、ザンザスはまだ達していない自身を再びぐっと突き上げた。
「ぅあっ!」
 予想通り、情けない声を上げてスクアーロが仰け反る。
 そのまま捻じ伏せるように叩きつけてやると、クソッと悔しげに呻いてスクアーロがぎこちなくザンザスの動きに合わせて腰を揺らし始めた。
 喉の奥でクッと笑い、腰に添えていただけの手を伸ばして、肩口の傷に爪先を立てる。
「う゛ぁあああ゛っ!」
 悲鳴と共に中がぎゅっと締まって、根元から絞り上げられるような刺激に思わず満足げな吐息が漏れた。
「ハッ、こりゃいいぜ!」
 もう一度やれとでも言うように、ザンザスがますます傷口を捏ね繰り回して新たな血を流させる。
「ひぎぃっ!い゛っ…あっ、このっ、クソ、ボスがぁあっ!…あ゛ああっ!」
 苦痛と快感を同時に味わわされ、スクアーロが瞬く間に次の白濁を吹き上げた。
 確かな熱を持ったその感触を確かめて、ザンザスが笑う。
「もっと叫べ、カス」


 凍えた炎が燃え上がる。
 全身の体温さえ奪われて、冷たい絶望に身を焦がしていたのは誰だ。
 深い水底から這い上がり目を開いて呼吸したとき。
 この身に宿る最強の炎は、眼下の全てを焼き尽くす。


Fine.

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あきゅろす。
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