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novel
un anno†/ザンどうしたスク


 うんざりするような暑さが癒え、夜気を乱す風に涼しさが混じる。
 もうすぐ夏が終わってしまうのだと、柄にもないことを考え空を見上げた。


 途切れ途切れに上がる掠れ声、潜められた息遣い。縋るように握り締めたシーツの擦過音が、ぐちゅりと淫らな粘着音に塗れる。鼓膜を犯すいくつかの音を体感しながら、スクアーロは漏れそうになる吐息を唇で噛み殺した。
「何を考えてる」
 背後から折り重なった男が胸元に遊んでいた手を首筋へと滑らせる。噛み締めた唇に指を差し込まれ弱みを狙ってぐっと腰を突き上げられると、スクアーロは長い銀髪を跳ね上げて弓なりに仰け反った。咄嗟に息を詰めたおかげでみっともない嬌声は上げずに済んだが、逃げ場を失った快感は体内へと逆流し、勝手に収縮した後孔がねっとりと雄を食い締めたせいで得も言われぬ淫楽を味わう。
「はっ、ふ…ぁ、べ、つに…」
 立てた膝をがくがくと震わせながらも、スクアーロは短い息を繋いで平静を装った。フンとつまらなそうに鼻を鳴らしたザンザスが今度は自身の解放を得るべく腰の動きを強めてくる。
「ぁ゛、んっ…、くっ、ふ」
 飽きることなく幾度も胤を注がれ、焼けたように痛む襞を惨く掻き回されても、スクアーロは抵抗しなかった。いつもなら上がる拒絶の言葉が無いことを、ザンザス自身も訝しく思っていたのだろう。骨が軋むほど強く顎を掴み、無理矢理上げさせたスクアーロの顔を蔑むような目で見下ろしてくる。
「そんなにこれが好きか、淫乱」
 先刻の激しさが嘘のように、ゆるゆると柔らかく腰を回される。脳髄が痺れるような甘ったるい悦楽の波に、スクアーロは淫蕩な色を銀瞳に乗せとびきり厭らしく見えるように笑ってみせた。
「このまま喰い千切ってやりたいと思うくらいにはなぁ」
「…ドカスが」
 汚らわしいと言わんばかりに手を振り払われ、肩から沈むようにベッドへと倒れ込む。
「んあ゛ぁっ!」
 身じろぎした瞬間にずるりと滑った先端が容赦なく前立腺を抉り、思わず堪えていた喘ぎが零れた。
「いい声で啼けるじゃねぇか」
 浅ましく濡れた声に気を良くしたらしいザンザスが、崩れかけたスクアーロの腰を抱え直し、熱く滾った自身で隘路を割り開く。鼻に掛かった喘ぎを漏らしながら、スクアーロはすっかり温くなったシーツに顔を押し付けた。
 目を閉じれば、男が今どんな表情をしているか手に取るように分かる。肉付きの薄い腰に食い込んだ指の形も、汗で額に張り付いた柔らかな黒髪の感触も、…上気して赤味を増した忌ま忌ましい火傷の痕も。
 かつて憧れた憤怒は衰えるどころか更に熱く燃え滾り、成長を止められた肉体は逞しく引き締まってこの一年で益々精悍な顔付きになったと思う。
 そんなこと言ったらどうなるか容易く予想がつくので、一度も口にしたことはないが。
 叩き付けるような突き上げに自らも腰を揺らし、スクアーロは下らない思考を攫う無二の悦楽に身を委ねた。


 夏が終わる。もうすぐ、長き沈黙から解き放たれた一年前のあの日がやってくる。
 去年の夏空がどんな色だったかなんて、もう思い出すことさえできない。
 季節が巡り、新しい記憶が積み重なっても。
 お前のいない夏は、もうこない。


Fine.



復活の日から1年。
夏が終わるあのちょっと切ない感じはいろんなことを思い出させるよね、ということで。

…果たして鮫にそんな繊細な思考があるものk(ry


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あきゅろす。
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