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novel
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●夫婦漫才
プルルルルッ、ピッ。
「おいドカス、てめー替えのインクどこにしまいやがった」
「あ゛?二番目の引き出しの奥にあるだろぉ」
ピッ。
プルルルッ、ピッ。
「パーティー用のネクタイがねぇ」
「クローゼットの右端だぁ」
ピッ。
プルルッ、ピッ。
「招待状は」
「スーツの胸ポケット」
ピッ。
プル、ピッ。
「今日のパーティーはてめーが代わりに」
「とっとと行きやがれぇええっ!!」

「…な、なぁスクアーロ、やっぱりお前今日は帰った方が」
「いいから話を始めろ跳ね馬」


●某有名野球漫画参照
「あーあー。暴力振るうし仕事はしないし、ボスって本当にダメ人間ですよねー」
「う゛お゛ぉい!そんな言い方すんじゃねぇ、フラン!あいつにはあれで良いとこが…」
「あれ、いつも隊長が言ってるセリフじゃないですかー」
「う゛っ…人に言われると腹が立つんだぁ」

「ちなみにボスの良いとこってどこですかー?」
「そ、それは……ど、どこだぁ;;?」
「……#(コォォォ)」←陰でずっと見てた。(しかもちょっと期待してた)


●愛情込めて育てましょう
「なぁルッスー。この花壇の…スイセン?だっけ?今年はすっげー咲いてんな」
「あら、ベルちゃんも気付いてくれたw?最近忙しくてあまりお世話してあげられなかったんだけど、逆にハングリー精神で頑張ってくれたのかしら?」
「花って虐げた方が綺麗になんの?」
「全部そういうわけじゃないと思うけど…とりあえずベルちゃんが今どの花を思い浮かべてるかは分かったわ」


●ウィキ先生に聞きました
「う゛お゛ぉい。報告書〜」
「…なんだその服は」
「あーこれかぁ?ベルのやつが嫌がらせだとか言って持ってきたんだぁ」
「ボーダーシャツが嫌がらせになんのか」
「サメは縞模様が苦手だって話をどこかで聞いてきたらしいぜぇ」
「で、てめーは素直に着てやってるわけか」
「お子様は駄々こねると面倒だからなぁ」
「………脱げ」
「は?」
「脱げ」
「って、う゛お゛ぉい!袖を引っ張んなぁ!駄々っ子かお前はぁ!!」
「…##」


●鮫の場合ボスの場合
「なぁスクアーロ〜」
「あ゛?なんだぁ?」
「(ピラッ)超レア写真、ボスの寝顔」
「う゛お゛ぉぉい!んなもんどこから手に入れ…ってか寄越しやがれ!一枚残らず処分する!トップの写真なんか出回ったらヴァリアーの沽券に関わるだろうがぁぁっ!!」

「なぁボス〜」
「…なんだ」
「(ピラッ)スクアーロのヘアヌード」
「……」
「あれ?やっぱ見慣れてるから興味なし?」
「……いくらだ」
「まいどありぃ〜」


●衝撃的告白
「オレには今も昔もお前だけだぁ。もうお前がいないと生きていけない、お前じゃなきゃだめなんだ!」
「ドカス…」
「ボス…ザンザス、愛してる…!」


「………ベル、マーモン、命が惜しけりゃとっとと出てこい」
「なーんだ。もうバレたか。つまんねーの」
「だから言ったじゃないか、こんな幻覚ボスには通用しないって」
「……」
「僕は止めたからね。殺るならベルだけにしてよ」
「ふざけんな、お前も同罪に決まってんだろ」
「…てめぇらに明日から1週間の休暇をやる。費用は落としてやるから旅行でも行ってこい」
「「(あ、喜んでる)」」


●どシリアスクアーロ
 腕の腱が軋むのに構わず、抉るように突きを繰り出す。最後にぐっと深く斬り込むと、標的は赤い肉片を撒き散らし呆気ないほど無様に吹っ飛んだ。
 暗殺技にしては派手だが新技の完成が見えてきた。ニヤリと得意げに笑って、スクアーロは振り返った。
「う゛お゛ぉい!今の見たかぁ?ザ…」
 呼び掛けた名前は最後まで綴られることなく地に落ちた。
 ああ、と妙に納得する。
 スクアーロが戦いに赴く時、いつも背中に受けていた視線を今日は感じなかった。
 いつもそこにいた人は、常に自分の後ろにいるべき人は、今ここにはいないのだ。
 ブンと左腕を振ってスクアーロは前に向き直った。
 考えるな。目の前の任務に集中しろ。
 止まるな止まるな止まるな。止まれば死ぬ。心が折れたら進めなくなる。さあ前を見ろ。走り続けろ。
 いつか訪れる、再会の日まで。


●10年バズーカで三十路ボス来る!
ボフン!
「お゛わっ!」
「…フン、10年前か。またあのバズーカが暴発しやがったな」
(中略)
「ドカスが」
「お前は10年経っても変わらねぇなぁ」
「……」
「……」
「う゛お゛ぉい、ボス、ザンザス」
「…なんだ」
「何か言えぇ。こういうときは未来から来たお前が色々話すもんなんじゃねぇのか?」
「てめーこそ、何故オレに質問しない」
「そう言われてもなぁ」
「……」
「……」
「そろそろ5分かぁ?」
「……」
「じゃあな。あっちのオレに宜しく言っといてくれ」
「…本当にカスだな、てめーは」
「あ゛?」
「施しに一つ忠告してやる。オレに殴られる覚悟はしておけ」
「はぁ!?なんでだぁ!」
「…疑うこともしないてめーの自業自得だ」

 10年後の自身と入れ替わった自分が何を見るのか。どうせコイツに解りはしないだろう。
 そこに未来があるのなら、隣にいると信じて疑いもしない、愚かなコイツには。


●16歳と14歳
 ただひたすらに、何かを信じている銀色の瞳が気に障った。透きた銀を曇らせ、濁った鉛のように貶めてやりたいと思った。
 他の人間なら恐怖に怯え震える憤怒の炎でさえも、頭の悪い鮫には尊敬と憧憬の対象だ。ならばと、ザンザスはスクアーロの手首を掴んだ。
 そのまま壁際に押さえ込もうとした刹那、親指に触れた爪の感触に内心ぎょっとする。自身の人差し指が一周回ってなお余るほどに、握り締めた手首は華奢で細く、憐れなくらい弱々しかった。あと少し力を込めたら折れてしまいそうなそれが掌の中でみしりと軋む。
 激烈な痛みを感じているはずだが、スクアーロはますます反抗的に唇を歪め、悪鬼の如く眦を裂いてきつく睨み返してくるだけだった。
 逆らうなと無言の威圧を込め睨み下ろすと、その双眸が微かに揺らぐ。
 自尊心が本能的な恐怖に負ける瞬間があることを、恐らくまだ本人も自覚していないのだろう。どこか不安げに、とらしからぬ言葉が浮かび、ザンザスは不意にこの男が自分より年下であったことを思い出した。
 先に生まれた2年分、自分は世界の薄汚さに絶望している。
 そして後に生まれた2年分、コイツは世界の薄汚さをまだ信じている。
 あと2年経ったら、この瞳はどんな色をしているのだろう。暗く澱んだ灰色か、希望を失った鈍色か。
 それとも、まだ何かを信じ続けている、愚かで哀れな銀色か。
 少しだけ、その色を見てみたいと思った。


●ザンスク的朝チュン
 有無を言わさず突き出されたマグカップの白さに、スクアーロは視界が眩むのを感じた。朝日を反射する乱れたシーツの白さよりも、普段日に当たらない剥き出しの肌の白さよりも、宙に浮いた一点の白が目に痛い。
 更に信じ難いのが、カップから立ち上るコーヒーの香りだ。恐ろしいことにインスタントの安っぽいそれではない。ローテーブルに捨て置かれたサイフォンの残骸をチラリと盗み見て、スクアーロは思わずこめかみを押さえた。
 相手を刺激しないよう表情を取り繕い、湯気を挟んで対峙している男に尋ねる。
「…で、何入れたんだぁ?」
 どす黒く濁った液体を手に、男はニヤリと口端を吊り上げた。
「さぁな。効いてくれば解る」
「飲む前提かよ!」
 言い返しつつも諦めたように溜息をついて、スクアーロは寄越せと言わんばかりに手を差し出した。
 恐る恐る顔を寄せてみても、鼻腔をくすぐる香りに違和感はない。今回のは無味無臭か、と当然のように思う。
「もし何も入ってなかったらどうする」
 不意にザンザスが言った。
 色と香りだけは素晴らしいそのコーヒーと、感情を映さぬ男の顔とを見比べ、スクアーロは小さく笑った。
「それはそれで、猛毒だなぁ」
 温かな液体が唇を潤わせ、微かな苦味が舌を撫でていく。
 最期にこくりと飲み込んだ雫は、さて、毒か甘露か。

2010/06/27


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あきゅろす。
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