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novel
donna di argento/ザンスクパロパロ


 ひいひい這い蹲って逃げる女を蹴り飛ばし、仰向けになったところで脚の間のスカートを踏み押さえる。額に銃口を突きつけ、躊躇いもなく引き金を引き掛けて、ザンザスは連れて来ていた小動物のことを思い出した。
 気まぐれに振り返ると、ぴんぴんと収まり悪く跳ねた銀髪が、路地の片隅で手持ち無沙汰に剣を弄んでいる。
「ボス、終わったのかぁ?」
 視線を感じたらしいスクアーロがすぐさま背筋を伸ばし声を上げた。必死に平静を装ってはいるが、駆け寄りたくてウズウズしているのがみえみえだ。だが先に邪魔するなと言い置いたせいか、その場からは動こうとせず窺うようにこちらを見ている。
「来い、ドカス」
 短く呼ぶと、スクアーロが飛び上がるようにぴょんと身体を跳ねさせた。見えない尻尾を千切れんばかりに振り、瞬く間にザンザスの元へ駆け寄ってくる。
「お呼びかぁ?」
 きらきらと信頼しきった目で見上げてくる様は、聞いた年より随分幼く見えた。これで他の者と剣を交えれば、名のある剣士さえ叩き伏せてしまうというのだからガキという生き物は理解し難い。
 唇の端で小さく笑ってから、ザンザスはくいっと顎先で足元を示して見せた。
「殺れ」
「了解!」
 ひぃっと上がる悲鳴に顔色一つ変えず、スクアーロは軽く引いた剣を適確に女の左胸に突き刺した。だが、不意に妙な具合に唇を歪め、途中まで刺した剣を引き抜く。ビクビクと女の身体が跳ね、壊れた下水道のように血が噴き出した。
「馬鹿が。一撃で仕留めろ」
 危うくこちらにまで血が跳ねかけ、ザンザスはチッと不快そうに舌打ちした。慌てたように剣を持ち直したスクアーロが、今度は両手で体重を掛けるようにして深く刺し抜く。
 水揚げされた魚のように跳ねていた肢体がようやく動かなくなると、スクアーロは広げた自身の手の平を見下ろし、しみじみと呟いた。
「思ったより重いな」
 体重がではなく、剣を振るったとき手に掛かる感触のことを刺しているのだろう。見かけこそ華奢だが、皮下脂肪が多い分女の肉体は男よりも抵抗が重い。
 加えてスクアーロが刺し貫いたのは女の左胸。娼婦だった女が常々自慢していたらしいふくよかな脂肪の塊だった。
「女は初めてか」
 しみじみ呟いた声がやけに可笑しくて、ザンザスはからかうように言った。
「んーそうじゃねぇけど」
 慣れない感覚を馴染ませるように、スクアーロは剣を左右に持ち替えては指を開閉させている。
 戸惑った顔、という表現が適切だろうか。珍しく歯切れの悪いスクアーロをザンザスは鼻先で笑い飛ばした。
 大人顔負けの剣技を誇ろうと、所詮子供はは子供。転がった死体が襟首の大きく抉れたドレスを纏っていた訳も、商売道具たる豊満な胸の意味もまだ解ってはいないのだろう。
「やっぱりガキ…」
「この感触だと資料にあった20歳ってのは嘘だなぁ。ほら、乳の張りとか微妙じゃねぇ?」
「………………なに?」
 スクアーロがさらりと口にした言葉に、ザンザスの反応が一瞬遅れた。
「顔は化粧で誤魔化してるけど肌はなぁ。年誤魔化すにも限度ってあるだろ」
「………………」
「普通もっと若い女は筋肉の多い分、斬った時の反動がこう、」
「………………」
「ボス?なんで黙ってんだぁ?」
「………………」
「あっ!もしかして熟女好きか?悪ぃオレ知らなくて!経験豊富なのも色々楽しめるよな!オレは若くて絞まりいい方が好…」
「うるせぇ黙れいっそ死ね」
「なんでっ!?」


Fine.



子鮫が意外と大人だったら面白いのにというパロのパロですいません。

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