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novel
pesce bianco†


 掴んだ双丘を割り開き、昂ぶった自身を根元まで捻り込む。限界まで引き伸ばされた襞口に親指を掛けると、そのまま無理に突っ込まれるとでも思ったのか剥き出しの背中がひくりと慄いた。
「も、入ら…ね、って…」
 ガクガクと無様に膝を震わせ、スクアーロが目の前のガラスに縋り付く。引き下ろしたズボンを足首に纏わり付かせ、腰だけを突き出した姿はいっそ滑稽だ。
 窓の外は知らぬ間に黒く塗りつぶされ、照明を映した窓ガラスは質の悪い鏡と化している。殴り書きの報告書を携え現れたスクアーロをとりあえず一発ぶん殴り、気紛れで床に引き倒してから数時間が経過していた。既に満足と呼べる回数達してはいるが、何故か今夜はまだこの身体を手離す気にはなれずにいる。
 力尽くで抑え込んだ肢体は、弾力のある豊満な胸とも包み込むような柔らかな内壁とも縁遠い。思い切り突き上げればゴツゴツと骨張った腰骨が当たるし、無駄な足掻きと分かっているくせに抵抗を止めないから、言う事を聞かせるためには一々抑え付ける手間が掛かる。
 こんな面倒な身体のどこがいいのかと、ザンザスは内心で己を嘲笑した。
 が、そんな思惑は一切表情に出さず、前に回した手でスクアーロの顎を掴み、端的に命じる。
「しっかり見てろ」
 強制的に顔を上げさせると、透明な鏡の上で二本の視線がかち合った。荒い息を吐いていたスクアーロが悔しげに睨み返し、肩に寄せた耳元でギリッと噛み潰される奥歯の音が聞こえた。散々弄り尽してぷくりと腫れ上がった乳首をこれ見よがしに弾いてみせ、女を扱うのと同じ丁寧さで先端を丸く擦ってやる。
「いいざまだな。男に犯されるのがそんなに嬉しいか」
「っ…、ふ…ぅ!」
 声を出したら負けだとでも思っているのか、スクアーロは血が滲むほどに唇を噛み締め、与えられる刺激に耐えている。どうせ頭の芯まで快楽でぐちゃぐちゃのくせに、理性は飛んでも諦めの悪さだけは手離さない辺り、頑固なのかただの馬鹿なのか。
 淫乱、と耳元に嘲笑を注ぎ込むと、見据えた銀色の瞳から殺気にも似た激しい感情の波が跳ね返り、ザンザスは満足げに低く笑った。
「こんなとこまでドロドロにしやがって」
 前に回した手でスクアーロの下肢を探り、花芯の根元で息づく双珠を弄ぶ。こりこりとしたそれを手の中で転がすと、急所を握られているという本能的な恐怖にスクアーロが息を詰めたのが分かった。
 そそけ立つ頬を宥めるように、ザンザスが乾いた親指で唇をなぞる。気紛れで与えられた優しさにほっとしたように、スクアーロがふっと力を抜いた。
 次の瞬間。
 無言で片目を眇め、ザンザスは手の中にずっしりと重たい双珠を容赦なく握り込んだ。
「ひっ、あ゛あ゛ああああああっ!」
 喘ぎ声を堪えていたことも忘れ、激痛を吐き出すようにスクアーロが悲痛な声を迸らせる。同時にぎりぎりと内壁を引き絞られ、ザンザスはきつい締め付けを味わいながら強引に自身を引き出し、再び捻じ込む動作を繰り返した。
「うあ゛っ、あ…、んあ゛あっ!」
 つられて腰を捩った途端イイところを掠めたのか、萎えることを忘れたスクアーロの花芯からびゅっと白濁が噴き出す。ガツガツと突き上げる度、吐き出された蜜が窓ガラスを汚した。
「ぶはっ!油断してんじゃねえ、ドカスが」
「こ、の…っ、クソボスが…ぁっ!あっ、や…」
 憎まれ口を叩きながらスクアーロが切れ切れの喘ぎ声を上げる。前立腺を狙って小刻みに突き上げてやると、全身をぶるぶると震わせてしゃくり上げるような声を洩らした。
 このまま中に吐き出してしまっても良かったが、揉み立てるように蠢く内壁の締め付けを耐え切り、ザンザスはふっと短く息をついた。自身の中でそれを感じ取ったのか、スクアーロが濡れた瞳を訝しげに向けてくる。
「ザン、ザス…?」
 それを無視し、ザンザスは長い腕をつと前に伸ばした。とうに一晩の限界を超え、力なく項垂れたスクアーロの花芯を乱暴に扱き立て、ぷつぷつと尿道に残った残滓を絞り出す。
「やめ…っ!もう痛ぇ、って…!」
 しなやかな硬さにまで勃ち上げて満足すると、ザンザスは改めてその根元を握り込んだ。
「出さずに後ろだけでイってみせろ」
「…はぁ!?」
 唐突の要求にスクアーロが間の抜けた声を上げる。握る力を強め、裏筋を指でなぞってやるとようやくその意味に思い至ったのか、カッとしたように叫んだ。
「オレは女じゃねぇ!」
「当然だ。こんな貧相な身体の女がいてたまるか」
「っ!なら、オレが適当な高級娼婦でも見繕って…」
「必要ねえ」
「ん゛あ゛っ!」
 未だ硬いままの自身で思い切り穿つと、スクアーロはびくりと背中を反らして喘いだ。肩口に押し付けられた銀髪の感触を、鬱陶しいとは思うが不快ではない。
「あっ…あっ、やめ…ろぉっ」
 根元を押さえつけたまま余った指で嚢を弄んでやると、先刻の苦痛が蘇ったのかスクアーロが身を捩って嫌がる素振りを見せた。ククッと喉奥で笑いを漏らし、ザンザスは空いた手で胸の尖りを摘み上げた。こりこりした感触を楽しむようにいつまでも擦っていると、窓ガラス越しにスクアーロが睨み返してくる。
「オレは…女じゃ、ねぇっ!」
 だから女のように乳首で感じることも、射精を伴わない絶頂を迎えることも認めない。女の代わりに抱かれることは許容出来ても、女扱いされるのは我慢ならないと、どうせ言いたかったのはそんなところだろう。
「フン」
 必死の訴えを鼻先であしらって、ザンザスは思うさまに腰を突き上げ始めた。ついでに潤んだ蜜口を爪先でくじくと、息も絶え絶えの喘ぎ声が心地良く鼓膜をくすぐる。
「はっ、オレは、…女、じゃ、…んぁっ!」
 全身にねっとりと纏わり付く快感を払うように、スクアーロが加減も忘れて首を左右に振った。汗を散らして身悶える姿は水揚げされた白魚にも似ていて、力を込めたら捻り潰せてしまいそうだ。
 だがそれはあくまで幻影でしかなく、傲慢の名を冠した鮫はそれほど惰弱ではなかった。
 …当然そうでなければ、面白くない。
 縛めた花芯の先からは、とどめ損ねた先走りがだらだらと溢れ出している。太く張り出した先端が前立腺を抉るように角度を調節してやると、過ぎた悦楽に焦点を結べなくなった銀の瞳がぼんやりとザンザスを見つめ返してきた。
 つと零れた涙を舌先で掬って、ザンザスはどうせ聞こえていないだろう耳元に素っ気ない囁きを落とした。
「そんなことは知ってる」

 儚げな白銀は研ぎ澄まされた刃の色。
 業火で鍛え上げられた、折れることも毀れることも知らない一振りの剣。
 ただこの手によってのみ手折られる、唯一無二の孤高。


Fine.


金築様へ捧げますw
ありがとうございました!


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あきゅろす。
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