※ぬるいえろ ※鉢屋がちょっと酷い 闇の中で聞こえるのは自分の甘ったるい喘ぎ声と、手元から響く水音だけ。その中で真っ直ぐに俺を見つめる視線を感じた。 「…は、ッん」 「手ぇ止まってる」 「ン…」 冷たく愉しそうな声が俺の耳に届いた。咄嗟に止まりかけていた手を動かす。ゆるかった刺激が激しさを増し、がくがくと足が震えた。目の前で鉢屋先輩が笑ったのがわかった。 「……う、ア…!」 頭が真っ白になって俺は白濁を吐き出した。足元から崩れ落ちる。その支えきれなくなった身体を受け止めてくれたのは鉢屋先輩だった。細くて長い指が顎をなぞる。そのまま持ち上げられたすぐ先には鉢屋先輩の顔があった。暗闇の中でもわかるその見慣れた顔に少しだけ安心する。 「お前って体育委員のくせにこういう体力はねーよなあ」 ちゅ、と触れるだけの口付けをした後、鉢屋先輩はそう言って笑った。あってたまるかと俺は心の中で毒づく。 「次屋」 ゆっくりと俺を押し倒し、足を持ち上げられる。これから来るであろう快感と恐怖に俺は身体を震わせた。鉢屋先輩に抱かれる時はいつもそうだ。怖くて怖くてたまらなくなる。気持ちいいのに頭の中は恐怖でいっぱいで涙が出るのだ。いつか離れていってしまう先輩を繋ぎ止めておく方法は俺にはなくて、快楽が過ぎ去っていくのをただ待つだけ。こうする他、ない。 「愛してるよ、次屋」 俺は暗闇に手を伸ばした。掴んだ作り物の髪がぱさりと揺れて、次の瞬間俺は暗闇にのまれた。 20100813 |