novel 誰も知らない1 誰も知らない 逢瀬 縁側で月を眺めている夜 そいつはやって来る 「やあ、竜の旦那」 「テメェか…」 ―お前はなんで逢いに来る? ―あんたはなんで誰にも話さない? ―俺はお前の何なんだ? ―俺はあんたの何? 「なんでそんな離れた所にいる」 「別にいいでしょ」 「じゃあ消えろ」 本当に淡々とした会話 「近くに行ってやってもいいけど」 「あ?誰に口聞いてんだ」 苛立つ政宗のそばに佐助が立ち そのままトンと肩を押すと いとも簡単に政宗が倒れ 押し倒された形になった 「……」 政宗は驚いた様子もなく 真っ直ぐに左目で見つめ返す 「もっと動揺してもいいんじゃない?」 「するかよ」 政宗の歪む口元に指を滑らせると 佐助はそのまま顔を近付けた [次へ#] [戻る] |