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死を視つめる娘
ジャコウバラ
「夕方には一度目覚めて、マダムポンフリーとも喋れておる。」

「...ああ、よかった。」

ダンブルドアは口調が柔らかい闇の帝王に不謹慎ながらも安心した。

「屋敷に一旦連れて帰っても?」

「かまわんよ。」

...

シリウス・ブラックは狂った動く階段から、
落ちたシスルを両腕を伸ばし受け止めた衝撃で両腕を骨折し、
彼女と共に医務室に運ばれた。

マダム・ポンフリーに一晩は必ず休みなさいと強く言われ、
仕方無しに医務室のベットで夢の中に入ろうとした瞬間に

シスルの父親。
親父達が心酔し崇拝する"我が君"ことヴォルデモートが
愛娘のシスルのためにこのホグワーツに来たことに寒気を感じた。

目を瞑り、毛布に包まっているというのに凍てつく雰囲気に耐え切れない。

やがてヴォルデモートは愛娘を抱え、屋敷へ戻った途端に
シリウスは大きく安堵のため息をついた。

しばらくの間、
グリフィンドールになって面倒ごとを起こすシリウスに吼え手紙は来なかった。

それよりジェームズに指摘されてから、何故シスルを助けたのかが疑問となった。

シリウスは幼少期にヴォルデモートが主催したパーティーを嫌々行かされ、
たまにシスルの姿を見かけた。

ナルシッサ・ブラックと同い年だが体が弱く、未だホグワーツに入学できていない。
歩行が困難な体だったというのに自力で歩いたという美談を母親から何度聞いたことか。

「シスル...さま。今晩は。」

あらかじめ仕込まれた台詞を言うとシスルは紫の眼をこちらに向ける。

『シリウスね、こんばんは。
...マグルが大好きなのよね?』


開口一番苦笑いでそう言われた、そうだ俺はシスルのことを避けて嫌っていたはず。

戻すと何故あの時手を伸ばしたのか?

「ふーんゴートンのこと嫌ってるなら、
ゴートンがあそこで死んで父親の例のあの人が激昂して
面倒なことになるから無意識にシリウスは助けたんじゃない?」

親友ジェームズは早口で考えを伝えた、
ピーターはおずおずと小声で何か言った。

「ピーター、もう一回大きな声で言えよ。」

「あの...ぼ、ぼくの考えなんだけど...ただの考えなんだけど!
...シリウスはゴートンと仲良くなりたいんじゃ...?」

「ピーター...それはない。」

「だよね〜うっひゃひゃ...!!ひぃ!」

ピーターに軽いくすぐり呪文をかける、
それはない、シスル・ゴートンは純血主義者。

世界が反転してもあり得ないだろう。


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