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死を視つめる娘
カサブランカ
シスルを階段から落とした
赤毛のレイブンクロー生は父方の家に帰宅していた、




家は酷く燃えていた、
赤毛のレイブンクロー生は父と祖母の名前を叫び、
燃える家に駆け寄ろうと、荷物を落とす。



「よくもまあ混血のおチビがあのお方のお嬢様に...」

程良く細く白い腕に捕まえられる、
憎々しげな声の主の
波立つ黒い豊かな髪の毛が視界の端に映り込む。
そして、母と母方の親戚を奪ったのあの印が──...。


死の呪文は赤毛のレイブンクロー生の命を奪い去った。





ベラトリックス・"レストレンジ"は
夫のロドルファス・レストレンジと婚姻してから、
初の与えられた仕事が帝王の愛娘を殺そうとした者とその家族の処分だった。

ベラトリックスはシスルのことを深く好いていた。

元は憎々しいと思っていたのだが。

妹ナルシッサが産まれ、
ますます良きブラック家の"長女"として振舞わねばいけない。
人はベラトリックスを気高き傲慢な強気な女と評するが、
そうしないとブラック家の"長女"として面子が立てない。

叔母は流産を繰り返していたため、
もしかしたら初の女性当主がベラトリックスになるかもしれないとも囁かれて、相応しいのかと常に見られていた。
血が出る努力もした、あの闇の帝王に強く頼み込み入学前だというのに指導を受けたりも。

そして、幼きベラトリックスは闇の帝王の子を初めて目にした。

白いベットに磔られて(はりつけ)いるような
柔らかなベージュのエクリュの髪色をした、努力も何にも知らないような奇妙な紫の眼でこちらを見る、敬愛する闇の帝王の娘。

シスル

闇の帝王は努力も何にもしていないシスルを愛していた。
嫉妬に掻き立てられたベラトリックスはその嫉妬を押し込みながらシスルの話し相手になっていた。

生まれつき足が不自由だというシスルへ話すのは外が素晴らしいということを。

シスルはただ微笑みながらそれを聞いていた。

『ベラトリックスは何がほしい?』

「...大きな百合の花でしょうか。」

シスルの部屋に近くの崖に見える百合の花たち
、シスルはきっと使用人かしもべ妖精を使ってベラトリックスの欲しいものを簡単に叶えるだろう。



しかし、
シスルは自分の足を使い、危険な崖を登り。
包帯だらけになりながらも大きな百合をベラトリックスに届けたいと言った。

『ベラトリックス、お誕生日おめでとう。』

両親でさえこんな気持ちのこもった祝いの言葉とプレゼントを捧げてくれない、
ベラトリックスにとってシスルは眩しすぎる存在だったが、
その言葉と微笑むシスルを見た瞬間、ベラトリックスは閉じていた心が緩んだ。

シスルは母のような安心感の持ち主だった。

責められるベラトリックスをまだ痛む体を寄せて庇うシスル、
ベラトリックスはシスルに恐怖からの信仰ではなく、友情から信仰を抱いた。



『ベラ。おかえりなさい、首席で進級おめでとう。
あと監督生のまま...?』

「ああ、ただいま。まったくドロメダが恋沙汰ばっかりで監督生候補から外れたからねぇ。」

休暇が始まると両親よりシスルの所を優先し行った。

そして背後に音もなく立つそのシスルの父。

「ベラトリックスよ。」

「我が君...。」

「シスルはホグワーツに入れずに我が屋敷で勉強をさせようと思ったのだが、
シスル自身の決断で9月に入学をする。」

最初の死喰い人としての命令は易しかった。

ヴォルデモートはベラトリックスにシスルの身を1年守るようにした。

その冬の季節。
ベラトリックスの妹、
アンドロメダ・ブラックがマグルのハッフルパフ生と駆け落ちした。

『そう...ドロメダが...』

表向きでは逆鱗を触れられた竜のように怒っていたが、
シスルと自分だけがいる部屋だけでは不安で悲しみでいっぱいだった。

「あの子はいつか...いつかわかってもらえるとおもっていたのに...。」


家系図からアンドロメダ・ブラックが消され、写真や部屋さえも消されるだろう。
そしてアンドロメダ・ブラックという名を口にすることは禁じられる。


『たくさん泣いて、ベラ。
もうドロメダのために泣けないんだから...。』

1年間守る対象だったシスルの小さな手に撫でられ

ベラトリックスは最初で最後の身内のための涙を流した。

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