未来視の姉 運命は変わらない
アネモネ
「姉様、分霊箱についてなんだけど。」
『魂を分け完全な死から逃れ不死のような力を得る...前に言っていたわね。』
「...実行しようと思う。」
トムの声はいつもと変わらぬ落ち着いた声でハッキリそういった。
『っ...トム...生贄は...人を殺すの?』
トムより私はずっと動揺して途切れ途切れにそういった、
他の命を犠牲にし自分の命を補強する、恐ろしい魔法。
ズキズキと頭が焼けるように痛い、トムが心配して私の手を握ってくれる。
頭から眼に映し出されたのは私の私の片割れのトムが
別の名前になって顔が崩れてまで1人で死から逃れる姿。
こんな未来にはさせない、このまだ微かに温もりがある手を汚させない。
「姉様...?ああ、もちろんマグルの生徒だ。」
『私は...私は、トムと一緒に普通に老いて死んでいきたい、わ。』
「...じゃあ姉様も作ればいい。」
『できない...できないわ。
私は入学した時の組み分けで果敢な勇気も狡猾になれる勇気もないと言われたわ。』
私はまだ握ってくれているトムの手を強く握った。
『トムが本当に死にたくなったら一緒にっ...死ぬわ、私はトムを愛しているわ、だから。』
トムは私を抱きしめた
「嗚呼、姉様はそういう人だったよね。...一緒に老いていこう。
でも僕はマグルを許せない...
そんな僕を姉様は許してくれるのかい...?」
トムの赤い眼は私の紫の眼を見つめる
『ええ、ずっと一緒よ』
せめて最期の時は2人でいたい
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