DOLCE
「せ ん ちょ----!!」
バタバタと船長室に向かってくる騒がしい足音。
そして、バンッと勢いよく開く扉と開けた張本人のチカ。
「あ?うるせぇぞチカ」
「ごめんなさい。ぢゃなくてっ、」
見てこれ、ヤバくない!?
と、目をキラキラさせて俺に見せるのは
「作ったの!コックさんと」
「なんでまた」
チカの手にあるのはコックの手伝いあってか、とてもキレイにそして美味しそうにデコレーションされた小さなケーキだった。
「え-?やっぱ、キラーの言うとおりだったわぁ…」
「なんだよ」
「今日は船長の誕生日じゃないですか」
………。
一瞬考えた。そして近くにある新聞を手にし日付を見てみれば
「あぁ、そうだったな…」
「反応薄ッ!!もうちょっと、やたー誕生日だぁ!うひょー!!って喜べないんですか?!」
「喜ぶ歳ぢゃねぇよッ!!」
「まぁまぁ、とりあえず誕生日おめでとうございます」
にこっと普段見せるようなガキっぽい笑顔じゃなく、すこし大人っぽい笑顔を向けられ俺は一瞬、体が熱くなった気がした。
「ってなわけで、早く食べてください!私の特性ケーキっ」
嬉しそうにフォークでケーキを少し取り俺の口の前に持ってくる。
「自分で食える…」
「たまには良いじゃないですかっ、はい、あーん!」
これをやりたかっただけなのか?
多分、何を言っても俺にフォークを持たせてくれなさそうなので、仕方なく口を開けると更に嬉しそうな顔をするチカ。
「どうですか??」
口に入ってきた柔らかいケーキは、とても甘くて優しくて
「うまい…」
「……えっ!ホントに??本当に美味しいですか!?よかったぁ」
「あぁ、お前味見してないのか?」
「材料的に1人前しか作れなかったんですよ…それに味見したら船長にあげれなくなっちゃうし…」
だんだんゴニョゴニョと小さくなる声。
……かわいいとこ、あるじゃねぇか
「チカ、お前も食えよ」
「へ?」
「作った本人が食わなくてどーする」
え、でもコレ…
とか言ってるチカに
船長命令だ
と一言いってやれば
はい、わかりました…と素直に自分が作ったケーキを口に運んだ。
「おいしぃー」
頬に手を当て幸せそうな顔をするチカについ笑顔がこぼれた。
DOLCE
「今度は私一人で作りますねっ」
(忘れてた、これコックと一緒に作ったんだったな…)
「お、おう。がんばれよ」
今回と同じ出来映えになるように。
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