4 「あっ授業終わった」 キーボードを打つ手を止める理事長。 理事長は視線をパソコンから俺にずらす。 「えーと今から俺用事あるからここで解散」 「はあ!?」 いやいや今一人になったら色々まずいんだが…! じんぽんとかじんぽんとか 俺上野って人みたいに良い具合に感じたりできねえよ!! 「あっ神さん対策は大丈夫」 胸ポケットからカギを取り出す理事長。 カギには 「田上透のお部屋」 とピンク色で書かれた札が。 変な薬の件もあり俺は警戒する。 理事長は笑顔。 なっ…なんだ?田上?ペットの名前か? 「何そのカギ」 「へ?透ちゃんの部屋の合い鍵」 透(トオル)ちゃん? 俺は困惑する。 「んーと…透ちゃんはね。俺の秘書。怪しい人じゃないよ。ちょっとの間君のボディーガードしてくれると………思う」 笑顔で言う。 怪しいなあ…。今間を空けて「思う」って言ってなかったか? 「…えー」 「まあまあ…行ってみて」 カギを俺の胸に押し付ける理事長。 俺はシラーッとした表情で理事長を見る。 いや…秘書って奴見たことねえけど大丈夫なの? 「………っ」 信じられねえよ!! 「あー…もー…」 信じてもらえていない事を把握したのか左手で自身の頭をボリボリかく理事長。 理事長は俺の耳元に顔を近づけ俺の耳元でボソッと。 「この田上って子ね…元不良のうえネコなの。西本君の理想の受けかと」 「…………」 西本君が『不良受けきたああああああああ!!!ハアハアハアハアっ…』と叫びながら理事長室を去った数十分後…理事長室の扉がノックされる。 「…神さんだね。どうぞ」 ドアノブがまわされる。 「……」 黙ったまま入室する青ざめた神さん。 俺は椅子から立ち上がり神さんの側に近づく。 「ん?薬抜けた?」 「……」 拳を握り締め歯ぎしりする神さん。 自分がやらかした事ちゃんと覚えてるね…。 「いつまで引きずってんのかな?」 「ちがっ…」 「もう10年は引きずってるよね」 「…っ」 「いい加減にしたら?」 上野君は二度と君の前に現れない。 もういい加減けじめつけてよ。 君が失恋した時に負った心の傷が深すぎる。 「無理…だ」 自身の前髪をくしゃっ…と掴む神さん。 「ねえ神さん」 「……」 「人を好きになる気持ち…忘れちゃった?不良と平凡に対する憎しみしかないの神さん?平凡の体を支配して自分を満たす…それしかやり方ないの?」 「………」 頷く神さん。 「…でもそれじゃ神さんはいつまでたっても『うっせえ…!うっせえんだよっ!!あんたには関係ねえ!!俺は人の体を愛なく支配するしか考えてねえっ…支配したら満たされんだよ…。時間をかけて支配したときに味わえるあの瞬間が…最高なんだよっ…。ゾクゾクっとくんだよ…」 フフッ…と笑みを浮かべる神さん。 俺は身震いする 「神さん…あのね、俺は「もう俺の行動にいちいち口だすんじゃねえっ!!クソがあぁっ!」 ブチ切れた神さんは理事長室を出た。 俺は立ったままため息をつく。 「神さんの心のケア…もう俺の手じゃぁ…無理なのかなあ…。」 「ここ…かな?」 田上と札がかかった部屋の前に立つ俺。 不良受けの奴との遭遇は今回初めて……ドキドキっ…ワクワク…。 …ときめきが止まんねえ…。 「何聞こうかな…初体験はいつとか…ヤるとき喧嘩をするときより痛いかとか…キャー!」 [*前へ][次へ#] [戻る] |