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子犬の奮闘記!

あるところに、マルコとその愛犬名前が暮らしていました。
マルコは心底名前を可愛がっており、名前もマルコのことが心底信頼、尊敬しておりました。

そんな平和で幸せな毎日を過ごしていると、この世界を征服してやろうと企む魔王・シャンクスと、その右腕・ベックマンがやって来ました。
彼の目的は不死の秘密を知るマルコです。


「不死になれば遊び放題だぜ!」
「仕事しろ」
「バカに付き合ってられるか。名前、逃げるよい」
「わん!」


名前はまだ子犬なので早く走れません。
マルコに抱っこされ、逃げ出す一人と一匹でしたが、シャンクスは強大な力を解き放ち、あっという間に捕まえました。


「呆気ねェなァ…。もっと楽しませろよ」
「お前の遊び道具になるつもりはない」
「わんわん!」
「何だお前、犬飼ってたのか?」
「つい最近拾ったんだい」
「へー、結構可愛いな!よし、コイツも「俺だけで十分だろい」


ご主人様を守ろうと、シャンクスに吠え続ける名前でしたが、腰が引けていました。
可愛い愛犬に怖い思いをさせたくないと思ったマルコは、名前を捕まえようとしたシャンクスを殴ります。


「ごめんな名前…。俺はちょっと出かけてくるから…」
「きゃんきゃん!」
「もう帰ってこれねェかもしれない…。だから、俺のことは忘れろい」
「いってェ…。容赦ねェよなお前って」
「うるせェよい。さっさと連れてけ。その代わり、コイツには手を出すな」
「解った解った。べックマン、行くぞ」
「ああ」


マルコは最後に名前を見て、優しく微笑みます。
その笑顔を見て嬉しくなった名前は尻尾を振りながら駆け寄りますが、ベックマンの魔法によって三人は消えてしまいました。
驚いた名前でしたが、いきなりいなくなったマルコに、心が苦しくなります。
いつもいなくなるときは頭を撫でてくれるはずなのに、それがなかった。ということは、捨てられた?
子犬の心は悲しい結論を出しました。


「わんわん!」


いくらうるさく鳴いても、「静かにしろい」と怒る人間はいません。


「きゅーん…」


いくら鼻を鳴らしても、「しょうがねェなァ…」と呆れてくれる人間はいません。


「…」


いくら鳴いても、鼻を鳴らしても、寝ても起きても、いつまで経っても戻ってきてくれないマルコに、子犬はすっかり生きる希望を失ってしまいました。
元々の垂れ死ぬ運命だった名前。それを助けてくれたマルコに捨てられたのであれば、死ぬしかありません。
だけど名前に一つの思いが浮かびました。


最後に一度お礼を言いたい。それからなら捨てられたって構わない。


だけど名前は子犬です。人間の言葉など話すことはできません。
それにマルコがどこに行ったかなんて解りません。

また希望を失った名前。
寂しさを忘れるため、マルコと一緒に暮らしていた家へと戻ります。
シーンと静まる部屋に、また心が苦しくなります。
マルコが着ていた服を引っ張りだし、その上で静かに目を瞑ります。
マルコに抱っこされている気がして、子犬は幸せな気分になりました。


「おーい、マルコー、名前〜」


とそこへ、隣に住むサッチという人間が入ってきました。
サッチを迎える元気がない名前は、そのまま目を開け、静かにその様子を見ていました。


「あれ、いねェ…。あ、でも名前はいるじゃねェか!」
「…」
「どうした?元気ねェぞ?ははーん、さてはマルコに怒られたな?アイツ子犬相手でも厳しいからなァ〜」
「…」
「っと、マルコがいねェなら丁度いい!名前、これ飲め!」


他人の家だというのに、遠慮なくあがり、遠慮なく名前の頭を撫でまわすサッチ。
それでも元気を取り戻さない名前。
サッチは少しばかり興奮気味で、元気のない名前の前に透明な水を出しました。
何も喉を通したくない名前。顔を背けると「おい!」と怒った声が部屋に響きます。


「ちょっと実験に協力してくれよ」
「…」
「…やっろォ…。仕方ねェ、無理やり飲ますか!っと、その前に…」


名前が敷いていたマルコのシャツを名前にかぶせ、驚いて顔を出したマズル(犬の口のこと)を掴みます。
勿論抵抗する名前だったが、サッチは楽しそうに笑っていました。
そして怪しい水を名前に飲ませます。


「よっしゃあ!さァ、どうなる…?」


ドクンドクンと激しく動く心臓に、名前は飲んだばかりの水を吐きだそうとします。
しかし身体の様子はどんどんと変わっていき、「熱い!」と鳴こうとしたら、聞いたことのない声が部屋いっぱいに響きました。


「成功だ!」
「……あ、れ…?」


そこには、犬の「名残」だった耳と尾だけを残し、すっかり人間に変身してしまった名前の姿がありました。
名前を見て喜ぶサッチと、疑問しか浮かばない名前。


「動物が人間になる実験大成功だぜ!」
「じっけん…?」
「おお、お前思ったより声高いんだな。俺のこと解るか?」
「サッチ、さん…。俺にご飯、くれる人間…」
「単純な思考回路だな。あー、でも尻尾と耳だけは残ってんだな…」
「きゃん!」
「あ、悪ィ」


サッチが残った犬の耳を触ると、驚いたように名前が声をあげました。
それから、色んな質問をしてくるサッチでしたが、名前には到底理解できませんでした。
どうやら名前は、簡単な言葉しか理解できないようです。
そしてサッチはあることに驚きました。


「お前、メスだったのか…」
「はい」
「……マルコがオスだって言うから俺ァてっきり…。シャツ着せといてよかった」


実は女の子だった名前。
マルコは名前の見た目からオスだと決めつけ、首輪もベットもオスっぽいものを買い与えていた。
しかし名前だけは女の子っぽい名前。
何故?と言うとツッコミは止めて下さい。


「それよりサッチさん!大変なんです!」
「あん?」


大好きなご主人様が攫われたことを全部話すと、サッチは残念そうな顔をしました。


「悪いことは言わねェ。マルコのことは忘れろ」
「え!?」


大魔王・シャンクスは今までもたくさんの人間を誘拐してきました。
そしてその誘拐された人間は、いつまで経っても帰ってくることはありませんでした。
だから諦めろ。と名前を説得するサッチでしたが、名前がそれで納得するわけがありません。
捨てられたわけではないと解って、名前に力が湧いてきます。


「ご主人様は俺が助けます!」
「その姿で「ご主人様」は止めろ。勘違いされるぞ」


こうして、人間になった名前によるご主人様…マルコ救出大作戦が始まりました。





ルール説明!

次のページから選択肢が出てきます。
どれかを選んで、名前と一緒にマルコを救って下さい。
途中でバットエンド?があったりしますので、気をつけて下さい。

色々パラレルになってますので、この時点で無理だと思われた方は読まないことをおススメします。
読んでからの苦情は一切聞きませんので、予めご了承ください。



マルコを助けるためにさっそく魔王城へ!


あきゅろす。
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