「お前ら、なんかっ…、大嫌いだ…!」 大好きなお昼寝もなく、夜遅くまで隊長たちにこってりしぼられた。 別に強くなりたいわけじゃないのに、「自分の命は自分で守らねェとな」って笑いながら言ってくる隊長軍団。 だからって…だからって一斉に襲ってくんなよ! 俺ほんとただの一般人なんです!ちょっと身軽なだけなんです! そう悲鳴をあげてもお構いなし。 さすが白ひげの隊長をしてるだけあって強さとか身軽さ…とにかく全部が凄い。 そのおかげでフルボッコ。身体中いてェや…。 「名前〜、せっかくいい刀持ってんのに、お飾りとか刀泣いちまうぞ〜?」 「王子、俺は別に刀を使いたいわけじゃないんだ」 王子ことハルタが「勿体ねェなァ…」と覗きこんでくる。 上向きになって呼吸を整えながら答えると、楽しくなさそうな顔をする。 「とりあえず俺の言い分を聞いてくれ」 俺は悪魔の実を食ったが、ただの一般人。この実を戦いに生かすなんて考えちゃいねェ。 それと刀は威嚇のためと、もしものときのために持っているだけで、あんまり使えない。 んでもって俺はお前らの仲間になる気はない。自由に暮らせればそれでいい。 だからこんな修行みたいなこと意味がない。 『関係ない』 全員がハモるってどうなの?どんだけ仲良しなの? その言葉に俺は愕然とすることしかできなかった。もうやだ逃げたい。 「早くその力に慣れるといいな!」 「エース、ちょっと一人にしてくれ。俺今悲しいんだ…」 「飯くわねェのか?せっかくお前が捕まえたのに」 「飯は食う!つーか腹減った!」 逃げるのはまだダメだ。 それに、今逃げたとしてもまたマルコが追いかけてくるだろう。 そうならないためには? もっと強くなって……、この力を確実に俺のものにする。まずは悪魔の実と同化だな。 しかしその前に飯だ。 「あんだけ動いたのに食欲が湧くとはね」 「イゾウ、あんた楽しそうだった」 「マルコこそ。体力はそれなりにあるみたいだし、結構使えると思うよ」 「反射神経もそれなりだったぞー。俺の剣避けられたときはムカついたけどなァ」 「中の上、といった感じか。マルコ、明日もやるのか?」 「オヤジがそれを望んでんだ。それに、なかなか面白そうな奴だよい」 そんな会話をしているとは思っていない俺は、エースと一緒に食堂へ向かう。 今日は久しぶりに肉だ!って喜んでるエース。 俺のおかげだぞ。って言うが、無視。つーか聞こえちゃいねェ。 「あ、そうだ。なァエース、どうやったら悪魔の実と同化できんだ?ちゃんと詳しく、解りやすく説明してくれ」 「あー…そうだなァ…。俺の場合食ったらすぐ同化した気がするから、あんま覚えてねェんだわ」 「マジでか」 早いとこ悪魔の実と同化して、一発パイナップルを殴ってから出て行きたい。 力をつけることは悪いことではないし、寧ろ光栄なことだが、あいつらは容赦ねェからイヤだ。 つーか、マルコとかビスタのオッサンとかは風になった俺を殴ることができる。 何でかって聞いても答えてくれない…。 あいつら二人はそういった能力者なのか?適当に生きてきたからよく知んねェ。 「エース、マルコって鳥の能力者なのか?」 「いや、マルコは不死鳥だ」 「なにそれ格好いい」 「回数に限度はあるけど、死なねェって言ってたぞ」 「おおおお!やばいなそれ。無茶苦茶かっけェじゃねェか!」 「そうかァ?」 だから「不死鳥」のマルコね!能力の名前がそのままだったんだ! てっきり殺しても死なないほど強い男なのかと思ってた。 「おい、じゃあビスタのオッサンは?」 「ビスタ?ビスタは能力者じゃねェぞ」 「そうなのか?じゃあ何で風人間の俺を殴ることできるんだ?」 「おお、それなら」 そこまで言って、顔を皿へと突っ込む。 大きな音が響いたが、周りの雑談や騒ぎによってすぐに消える。 っち、もう限界か。まァまた今度聞くか。それより俺も早く食わねェと…。 「って、ねェし!」 目の前にはムカつく顔で笑っているパイナップルとイゾウの旦那と王子がいた。 やっぱりお前らなんか大嫌いだ! [*前へ][次へ#] |