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違う、羽休めだ

「おー、やるじゃねェか」
「お、俺の凄さ、が……解ったか…!」
「ああ。そうやって力尽きてなければな」


結局、無理やり働かせられました。
嵐をどうにかすることができないなら、お前の風でこの場所からあっちの安全な海へと移動させろ。
パイナップルのくせに言うこと悪魔だよ…。

だけどこのままだと俺自身も危ないので頑張った。手錠のせいで能力も使えないから逃げ出せないし。
手錠を外してもらい、船を移動させ、さあ逃げようとしたが、そんな体力残ってるわけなく甲板に倒れる。
その間にパイナップルに手錠をかけられた。なんなんだよこの手錠…。


「もう無理!なんなのここ!人を奴隷のように扱って許されると思ってんの!?」
「海軍にチクるか?」
「もっと俺を愛せよ!」
「は?だってお前仲間じゃねェし」
「仲間じゃなかったらこき使っていいのか!?」
「まぁ捕虜みたいなもんだしな。それに俺達は海賊だ。しかも白ひげが乗る。その船に喧嘩売ってきた奴は誰だ?」
「う…」
「この船に喧嘩売ってきたバカは誰だい?」
「パイナップルこの野郎!俺お前嫌いだ!もう許さねェ!」


愚かなことに、刀を没収するの忘れてやんの!
なまくらだが名刀なだけあって手錠を簡単に壊すことができた。
手錠を二人に投げつけ、油断してる間に能力発動!
逃げる!なんと言われようと逃げてやる!絶対に挑発に乗ってやるか!


「あ、消えやがった」
「フハハハ!風人間だから姿を消すこともできんだよバーカ!」
「どこ行った?」
「エース、上だよい」


姿を消したまま空へ飛び上がり、ムカつく二人を見下してやった。
おーおー、やっぱ見下すのって最高だな!笑ってやる!


「覚えてろよ!いつか潰しにきてやるからな!俺を怒らせたこと地獄で後悔しな!半裸は斬り刻んで、パイナップルは…ってパイナップルどこいった?」
「後ろだよい」
「ぎゃん!」


ま た こ の パ タ ー ン で す か っ … !


「おいお前、大丈夫か?つーか学習しろよ」
「パイナップル…。空飛ぶなんて卑怯だぞ…!」
「それはお前もだろ。マルコ、こいつどうすんだ?」
「オヤジが言うには、「使える」そうだ」
「へェ…。それは楽しいことになってきたな」
「すみません、もう一生会わないようにするんで止めて下さい。一生奴隷なんて嫌だあああ!」


俺の泣き声空しく、二人は悪魔のように笑って、白ひげの元へと連れて行かれた。
周りには隊長格らしきオッサン達が俺を睨んでくるし、もうやだ…。


「お前、名前は?」
「名前…」
「名前か。名前、俺の息子になれ」
「……は?」


この人はいきなり何を言ってるんだ?息子になれだって?


「おいおい、俺今さっきまで不本意だけどお前の首狙ってたんだぜ?」
「すぐやられたけどな!」
「半裸、土下座するから一回殴らせて」
「おー、土下座したままならいいぜ」
「どんな状態だ」
「グラララ!命を狙われるなんてこたァ日常茶飯事だ。俺が海賊だからな。だが関係ない、息子になれ」
「ジジィ、朦朧したか?俺は風だ。誰にも、何にも縛れたくねェ」


周りの奴らが殺気を放ってくるけど、俺は白ひげを睨み続ける。
息子って言う名のクルーだろ。そんなの死んでもイヤだ。
俺は自由になりたくてこの実を食ったんだ。だからこんなとこに縛られるのなんてごめんだ。


「テメェがなんと言おうと俺が決めた」
「じゃあ何で聞いたし」
「風人間となりゃあ今さっきみたいに使える」
「お前それが一番の理由だろ。ふざけんな!」


自由に生きたい。
それが幼いころからの夢だった。
何も考えたくない。何にも流されたくない。俺を決めるのは俺でいい。
それを人がワガママというならそれでいい。
つーか俺を便利屋か何かだと勘違いしてるだろ!


「いいからここにいろ。お前ならすぐ慣れる」
「俺に指図すんなクソジジィ!」


強制じゃねェか!

手錠の代わりに俺を縛っていた縄を風で斬り、その縄を持っていたパイナップルを風圧でふっ飛ばす。
また空に飛んで、今度は何も言わず船から離れる。


「クソッ、暗くてよく見えねェ…!」


荒れ狂う海の方へと向かう。そっちんが今は安全だ。
だけど後ろが騒がしい。船から離れたはずなのに何でだよ。


「今さっきのパイナップル!と半裸!」


青い鳥が半裸を背中に乗せ、俺を追いかけてきていた!
何でそんなに俺に執着すんだよ!俺はただの一般人だっつーの!
加速しようとしたが、今の俺にはこれが限界。もっと修行しとけばよかった!


「おい名前!船に戻れよ」
「半裸、お前は馬鹿か?戻る理由がねェ」
「オヤジがお前を息子って言った。だからお前はオヤジの息子だ。そして俺達の兄弟だよい」
「はァ!?何言ってんだお前ら。バッカじゃねェの。パイナップルの兄弟とか勘弁してくれ」
「オヤジはすっげェ奴なんだ。お前も何日かしたら解るって」
「人柄とかそういう問題じゃねェんだよ!俺は俺中心で生きていたいの。俺の好きなとこに行って、好きなように過ごしたい。あそこに行けば好きなとこに行ってくれんのか?行くわけねェよな、あいつが船長である限り。だからやなこった!」
「ここらへんには島ねェぞ」
「……え?」
「近くの島でさえ最低四日はかかるってビスタが言ってたな。お前その間不眠不休で飛び続ける気かい?」


……やっぱ船は大切だな、うん…。


「早く戻ろうぜ!」
「今頃サッチが宴会の準備してるだろうな」
「……ハァ。言っておくが、次の島までだけだからな!」
「「そりゃあ無理だ」」
「マジでか」


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