「ふわあああ…。ねみィ…。よー、エース」 「おい名前、野郎の乳首なんざ見たくねェ。ちゃんと着ろ。隠せ」 「あ?おお、わりィな…」 眉間にシワを寄せ、再び食事に戻ったエース。 仲間のほとんどが街に出かけているから、朝飯をゆっくり食えるのはかなり珍しい。 俺もエースの隣に腰を降ろし、少し冷めた飯を口に入れる。うむ、今日も飯がうまい! って、 「半裸のテメェに言われたかねェよ!」 「…………確かに!」 「ちょ、きたねェ!飯を飛ばすな!」 つーかさ、ずっと思ってたんだけどこの船半裸が多すぎだって。ちょっと間違えれば露出狂軍団になるぞ。 オヤジを筆頭に、ジョズ、ビスタ、エース…。マルコは着てるのか着てないのか中途半端野郎だけどな! あとサッチはほんまもんの露出狂だ。宴をすれば一番に脱ぐ。ただのバカとも言う。 あ、逆にイゾウの旦那と王子は脱がないよな。 「食った食った!もう腹いっぱい」 「おいエース、お前今日何すんだ?」 「昨日船番だったし街に行ってくる。ハルタにいい飯屋教えてもらったから食ってくんだ」 「お前今さっき「腹いっぱい」って言ったじゃん…!」 「名前はサッチと一緒に船番だろ?」 「無視か。おう。サッチとじゃあ楽しくねェが、今日はゆっくり寝るさ」 「それがいい。ここずっと戦ってばっかだから今日ぐらいゆっくりしろ」 「じゃあ土産頼んだ!」 「じゃ!」 「また無視か!」 手ぶらで部屋を飛びだし、そして船から飛び降りる。 飯屋行くのに手ぶらはねェだろ…。もしかして食い逃げするつもりか? それにしても静かだ。静かすぎる。普段がうるさすぎるもんな。 サッチを除いた隊長たちは全員街へ出かけている。オヤジもいねェ。 四番隊員しかいないってことは、安眠ができるってこと! 「どこで寝るかなァ〜」 やっぱ人気がない場所だよな。 いくら天敵(隊長たち)がいないからって油断は禁物だ。 特にマルコ。あいつは神出鬼没すぎる。 「おい名前ー。どこ行きやがったあのバカ」 「バカって言うなリーゼント」 「そこか。おい、酒飲もうぜ!」 「朝っぱらから!?っていうか昨日も飲んでなかったか?」 「二日酔いにはワインって言うだろ?」 「どこの国の言葉だ」 笑って取り出したワインとグラス。 つまみがねェぞ。って言うと、あっという間に作ってくれた。さすがだ。 「でも俺寝たい」 「お前の意見なんか聞いてねェ」 「でた、白ひげ海賊団名物「ザ・横暴」」 「オラ飲めッ!」 「解ったから!無理やり飲まそうとすんな!」 瓶をそのまま口に突っ込もうとしてくるもんだから、渋々付き合うことにした。 とは言っても、朝からはキツイので、つまみメインにチビチビ飲む。 サッチは水のようにゴクゴク飲んでっから、「大丈夫か?」って一応心配してみたが、 「うるせェ!いいから俺の裸を見ろ!」 奴は既に出来上がっていた。 二日酔いの分際で飲むからだ! 「止めろ!俺は野郎の裸に興味ねェ!」 「そう言いながらエースやマルコと仲がいいじゃねェか!」 「別に二人が半裸だから仲良くしてるってわけじゃねェよ!なにその基準!つーかマルコが好きとかねェよ!」 「そうなのか?」 「どこをどう見たらそう見えるのか俺は不思議でならない」 「俺ァてっきりマルコのことが好きなのかと…」 「ヒィイイイ恐ろしいこと言うな!やっば、鳥肌立ってきた…」 「おい足立てんなよ。見たくねェもんが見える」 「おお、すまんすまん」 座って飲んでいたが、何だか面倒になり横になる。 サッチみたいに飲むつもりもないし、飯もついさっき食ったばっかで腹いっぱい。眠い…。 「マルコと仲がいいって言われるぐらいだったら、サッチと仲がいいって言われたほうがいい」 「名前…。お前そんなに俺のことが好きなのかよ…。だが断る」 「おい!」 「男に好かれても嬉しくねェ。どうせなら美人に好かれたい!」 「それは俺もだ。例えばの話だろうがクソリーゼントが!」 「お、やんのか?ただの人間である俺にも勝てねェくせに!」 「酔っぱらいに負けるほど弱くねェよ!っておい、寝んなよ!」 起き上がって戦闘態勢に入った途端、サッチはイビキをかきはじめる。 なんなのコイツ!人を誘っておきながら寝るとか失礼すぎる! ……あ、でもそのおかげで俺も寝れるじゃん。よし寝よう。そろそろ限界だったんだよなー。 また横になって、空を仰ぐ。あー…気持ちいー…。 「ふぎゃ!」 「あ、悪い。見えなかった」 「……ッ…」 夢を見ないぐらい深い眠りに落ちていた。 それなのに強烈な痛みが腹部に走り、現実世界に強制帰還。 声が出ないほど痛い。久しぶりにきたぞこれ…。 で、犯人は誰かと顔をあげれば案の定、俺の天敵マルコ。 「テメェ…マルコ…!」 「ちゃんと船番しろい」 「だからって降りる場所を考えろ!」 「すまねェな」 「目を見て言え!」 「名前の目を見たら吐きだしちまうよい」 「失礼にもほどがあるぞゴラァ!」 腹部をさすりながら服を掴みにかかるが、マルコはしんどそうに目を反らし、「ッチ」と舌打ちをする。 おまっ…どんだけ俺のこと嫌いなの!?て言うかキャラ違いすぎだろ!(女主人公部屋のマルコに比べて) 「とにかく、仕事はちゃんとしたんだろうな?」 「してねェよ!」 「威張って言うことじゃねェよい。早くしろい。おいサッチ、テメェもだよい」 「いでっ!」 幸せそうな顔して眠るサッチの頭を蹴って起こす。 あいつ…本当に遠慮なしだな。これが隊長でいいのか?いつか職権乱用するんじゃないか? 「あ、俺の権限で名前は一番隊隊員に決めたよい」 「今使いやがった!職権乱用禁止いいいい!」 「決まったからには俺のことを、「マルコ隊長さん」もしくは「マルコ隊長様」と呼ぶように」 「解りました、パイナップルクソ隊長殿」 「テメェの大事な息子を踏み潰し、引き千切って海王類の餌にしてやろうかい?」 「想像しただけでイデェ!俺の大事な息子に何をする!」 「使わねェし構わねェだろい?」 「使ってますぅ。失礼なこと言うんじゃねェよパイナップル!」 「は?お前童貞じゃあ…」 「本気で殴るぞ。ここに入る前までちゃんと使ってましたー」 「………妄想?」 「いいえ、現実です」 「恋人がいたのかい?」 「いや、適当。フラフラしてたから」 「最悪だな。全世界の女に謝れ」 「お前は11個前の台詞を読んで俺に謝れ。最悪なのはテメェだ!」 「やっぱお前ら仲いいよな」 「「止めろ、鳥肌が立つ」」 「ほら」 楽しそうに笑うサッチを横に、俺とマルコは心底嫌そうな顔でお互いを見た。 [*前へ][次へ#] |