!パラレル注意! 前回に引き続き、何故か子供時代のマルコとサッチとエースがやってきました。 子供時代の性格を捏造してます。 パラレルが苦手な方も先に進まないようにして下さい。 「おいテメェ、今さっきからなににらんでんだよ」 「テメェこそなににらんでだよい。言っとくがテメェよりおれのほうが強いからな」 「なんだと!?」 「うわああん…!こわいよォ…!」 目の前はカオスです。 何故かいきなりマルコさんとサッチさんとエースさんの子供がやってきました。 グランドラインは不思議な海だし、摩訶不思議なことが起きても別に構わない。 マルコくんもサッチくんも可愛いし、問題はない。 問題はないが、ケンカはしないでほしい! マルコくんとエースくんはお互い睨み合いながら、今にも殴りかかりそうな体勢。 そんな険悪ムードを肌で感じているサッチくんはしゃがんで涙と鼻水を流している。 私はどうしたらいいか解らず、とりあえず「落ちついて」とマルコくんとエースくんを一生懸命宥めている。 マルコさん達に助けを求めたいが、三人とも(寧ろ隊長さんや隊員さん達全員は)仕事で忙しいので声すらかけられない。 どうしよう…。オヤジ殿に助けを求めようか…。でもあんまり迷惑かけたくないしなァ…。 「つーかテメェ誰だよ。おれに命令すんじゃねェ!」 「エースくん怖い…」 「おい!おれの女を泣かすな!」 「ハッ!バッカじゃねェの?それよりここどこだ?ルフィとサボはどこ行った?」 「なまいきなやつに教えてやるかよい。れいぎってもんを知らねェのかい?」 「ああ…?」 もうやだっ…!なんでいちいちケンカ腰なの!? 私も泣きそうになって、サッチくんの横に同じくしゃがんで、サッチくんを抱きしめながら少し泣き言をもらしてしまった。 だってどうしたらいいか解んないんだもんっ…。 「……お姉ちゃんもこわいの?」 「ちょっと怖い…。でもどうしたらいいか解んないのが先…」 「だいじょうぶ?」 「うん…。ありがとう、サッチくん」 汚れた顔をあげ、泣き言を言う私の頭をよしよしと撫でてくれるサッチくん。 胸が温まったよ…! 「でも私が年上だもんね…。しっかりしないと!」 「ぼくもがんばる!」 「一緒に頑張ろう!」 顔を見合わせ、二人揃って頷く。 私がエースくんに近づき、サッチくんがマルコくんに近づく。 文句を言っていたけど、まずは二人を引き離さないとね! 「エースくん、初めまして。俺は名前です」 「お前の名前なんかどうでもいいんだよ!それより邪魔だ!」 「ケンカはダメです!」 「おれに命令すんじゃねェ!」 そう言って私の胸倉を掴むエースくん。 こ、子供なのに凄い握力…。でも負けない! 「ケンカしちゃダメだよ!殴られたら痛いんだよ?!」 「そんなもん知ってる。だけど男は強くあるべきだ!」 「そう、だけど…。ちょっと違う気がする…」 「なんだと!?」 そう言って掴む力を強めた。く、苦しい…! 「力で相手を支配するのは、弱い人がすることだよ!」 でも言ってやった。これは本心だ。 本当に強い人はオヤジ殿みたいな人のことを言う。 まだ解んないだろうけど、きっと解る日がくるから。だから暴力は止めようよ! 「……でも強くなきゃやられる」 ゆっくり離し、背中を向けた。 …子供なのになんか背中が大きく見えた。 エースくん…エースさんの過去も壮絶なのかな…? 「そうだね、俺も強くなりたいって思う。でもケンカはダメだよ。俺も苦しかった…」 「………悪かった。おれ、すぐ頭に血がのぼるんだ…」 「だけど他人に耳を貸すのは凄いことだと思うよ」 「……っせェ」 あ、照れた。照れた顔は可愛い。 「お前、名前って言ったっけ?」 「うん」 「女みてェな名前だな」 「女だよ」 「は!?……わ、悪い…」 「ううん、気にしないで」 やっぱりエースくんもいい子だ! 思わず頭を撫でそうになったけど、きっと撫でたら怒られるから止めておこう。気をつけないとね! 「お前女なのに海賊してんのか?」 「うん!」 「…強いのか?」 「強くなりたいって思う」 「ふーん…。あ、そうだ。お前、戻り方知らねェ?」 「戻り方?」 「なんかいきなりここにいたんだ。おれそっくりな男に出会って、すぐお前のとこに連れて来られた…。早く帰んねェとルフィとサボが心配してる」 「んー…。どうやって来たかも解らないから、どうやって帰るかも解んない…」 「……ハァ…。ま、慌てても始まらねェし、とりあえず腹減った。なんかいねェかな…」 「ご飯食べる?」 「食う!」 目をキラキラさせ、身を乗り出すエースくん。 子供のときからご飯食べるのは好きなんだ。…エースくんも途中で寝たりするのかな? 自然の流れでエースくんの手を握ると、すぐに離された。 私の手を叩き、「何すんだテメェ!」と声をあげて距離を取る。 「あ、ごめん」 「おれにさわんなよ!それと、ガキあつかいすんな!」 「別にそういうつもりで握ったわけじゃないんだけど…。ごめんね?」 「……まァ、わざとじゃねェなら許してやる」 赤くなった頬。目を反らしながら呟き、また私の隣を歩く。 手は繋がないほうがいいよね? 「おい名前ー!大丈夫かい?」 「お姉ちゃん、だいじょうぶ?」 「マルコくん、サッチくん。うん、大丈夫だよ」 「おいお前」 一歩前に出て、変わらず偉そうな態度でマルコくんを見るエースくん。 マルコくんも睨むようにエースくんを見るが、今さっきの噛みつきそうな勢いはない。 サッチくんが宥めてくれたのかな?凄いね、サッチくん! 「今さっきは悪かったな」 「おれのほうこそ大人げなかったよい」 ……子供らしからぬ謝罪。だけど…まァ、いっか。大丈夫だよね? 「でも名前に手ェ出したら許さねェからな」 「だ、出してねェよ!なんだそれ!」 「……お前なに赤くなってんだよい。本気でゆるさねェぞ!」 「ちがうっつーの!誰がこんな弱そうなやつ好きになるか!」 「……またケンカ始まっちゃったね…」 「お姉ちゃん、ぼくおなかすいた…」 「じゃあ食堂行こうか。俺が作ってあげる!」 「ぼくも手伝う!」 掴みあいのケンカはしなさそうなので、サッチくんの手を取り、先に食堂へと向かう。 後ろからマルコくんが怒って後をついてきて、エースくんも仕方なしについてくる。 三人のために何を作ろうか。そんなことを考えながら笑っていると、三人が一瞬にして消えてしまった! 「何で!?」 サッチくんの体温も感じない。マルコくんの声も聞こえない。エースくんの顔も見れない。 ……元の時代に帰ったんだろうか。それにしてもいきなりすぎだ。 喪失感に、私はぼんやりとその場に立ちつくす。 これから四人で遊べると思ったのに…。弟ができて嬉しかったのに…。 少しだけ涙が出て、すぐに腕で拭うと、「名前」と肩を叩かれた。 「マルコさん…」 「チビ達はどうしたんだい?エースのガキも来たって聞いたんだが…」 「消えちゃいました…」 いきなり消えてしまったことを伝えると、「そうかい」とだけ答え、私に近づいて頭を撫でてくれた。 う、泣きそう…。なんか解んないけど泣きそう…。 「寂しそうだな」 「……はい…。せっかく仲良くなれたのに…」 「いいお姉ちゃんしてたよい」 「もっと遊んであげたかったです…」 「十分だよい」 優しい笑みを浮かべてくれるマルコさん。 マルコさんやエースさん達が私にしてくれるように、私も三人に色々してあげたかった。 それをすることもできず、三人は帰ってしまった。それがとても寂しい…。 俯いたままマルコさんに抱きつくと、マルコさんは変わらず頭を撫で続けている。 「またきたら、今度はご飯を作ってあげたいです」 「そりゃあいいな」 「それから一緒にお昼寝して、修行して、遊んで…。あとギュッって抱き締めたかった」 「そうかい」 「………でも…」 「でも?」 「…やっぱり甘えるのも好きです…」 弟ができたみたいで嬉しかった。何もしてあげられなかったのが寂しかった。 だけど、いつもみたいにマルコさんに甘えるのも好きだ。 マルコさんの大きな手で、頭を撫でられるのも好きだ。 「俺も名前が甘えてくれて嬉しいよい」 「マルコさん…!」 抱きしめる力を強めると、マルコさんはフッと笑う。 また来てほしいけど、もっと私が大人になってから来てほしいと思ってしまった。 それまではまだ子供のままでいたいな。ごめんね、私はお姉ちゃんに向いてないかもしれないや。 [*前へ][次へ#] |