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下ネタハプニング

!注意!
エロ単語・下ネタあり。





白ひげ海賊団の飯時はいつも賑やか。
賑やか。という言葉より、「やかましい」と言った言葉のほうがよく似合うほど、賑やか。
ある場所では「酒が足らない」と騒ぎたて、ある場所では「肉が足らない」と騒ぎたてる。
しかし、別の場所では「名前の隣は俺だい!」「いいや、俺だ!」といい年齢をした隊長二人が騒いでいる。
そんな光景も毎日のことなので、原因である名前は言い争いをしているマルコ、イゾウの二人を見て笑い、ちょこんとエースの隣に座った。


「あいつらも毎回飽きねェな…。ほら名前、野菜も食え」
「あ!エースさん、野菜を俺のお皿に入れないで下さいよ」
「安心しろ。その代わり肉は頂いた」
「格好つけて言うことじゃないですってば!」


エースに盗られたお肉を取り返そうとフォークを伸ばすが、お皿を上にあげて取らせないようにする意地悪なエース。
ぴょんぴょんと小動物のように跳ねる名前を見て、ご満悦そうに笑うエースだったが、その後ろに怖い顔をした保護者二人によって奪われてしまった。
タンコブを二つ作ってテーブルに突っ伏すエースを放置し、左右にマルコとイゾウが腰を下ろしてようやく静かな夕食を迎えることができた。


「最後にゃあそういう位置になるのに、何でわざわざケンカすんだよ…」


一部始終を見ていたサッチが呆れながらマルコに言うと、イゾウと顔を見合わせてて首を捻る。


「今日は俺が名前の隣に座ったのによー…」
「エースはすぐ名前ちゃんを虐めるからダメに決まってんだろ」


復活したエースがサッチの隣、名前の目の前に座って食事を再開する。
苦笑しながらサッチがエースにお酒をついであげ、「まあ食え」と余った野菜をお皿にこんもり乗せた。


「野菜はいらねェ。名前、食え」
「えー…俺もいりませんよ…」
「名前、好き嫌いはよくねェぞ。胸もでかくならねェ」
「サッチさんはいっつも胸のことばっか…。いいもん別に…」
「胸がなくたって名前には名前の魅力がある。気にすんじゃねェよい」
「マルコさん…」


このやりとりももはや日常茶飯事。
最近の名前は身長もよく伸び、身体つきも女の子から女性らしくなってきた。
しかし、胸だけは一向に大きくならない。
それを気にしているというのに、サッチは無神経にネタにする。
が、そのたびにサッチの前に座るイゾウに脛(すね)を蹴られて悶絶する羽目になるのだが。


「ごちそうさまでした」
「はい、名前ちゃん。今日のデザートはリンゴとヨーグルトだよ」
「ありがとうございます、イゾウさん!えっと、お砂糖お砂糖…」


夕食のあとには必ずデザートが出される。
皮が剥かれたリンゴと、透明なカップに入ったヨーグルトをイゾウから受け取り、ヨーグルトに混ぜるお砂糖を探す。
すぐにマルコが名前に渡してあげると、笑顔でお礼を言って砂糖をヨーグルトの中に入れてスプーンでかき混ぜる。


「行儀悪ィぞ名前」
「だっ、だって甘くないと食べれないもん…」


エースは態度に似合わず行儀や礼儀にうるさい。
ヨーグルトをかき混ぜる名前を見て、厳しく注意するが、名前は「砂糖をいれて混ぜないと食べれない」と言ってきかない。
それに怒ったエースが名前からヨーグルトを取り上げたのだが、テーブルに足を乗せているのでサッチ、マルコ、イゾウの三人から殴られた。
しかし引かないエース。先ほどと同じく取り返そうと跳ねている名前の顎を掴み、ヨーグルトが入ったカップを名前の口に押し込んだ。


「食え!かき混ぜずそのまま食うんだ!」
「エース!名前に何してんだい!」
「名前ちゃん苦しんでるだろ!離せ!」
「うわー…こいつマジでドSだよな…。真似できねェな」


無理やり口に押し込まれたせいで苦しそうに暴れる名前。目からは涙も溢れ、「離して!」と言うようにエースの腕をペシペシ叩いている。
しかし、ヨーグルトを全部食べるまで離そうとしない鬼兄、エース。
いくらイゾウやマルコが名前から引き離そうとするが、絶対に離れようとはしない。
そうしている間にも名前の限界が近づき、とうとう吹き出してしまった。


「うわ、きたねェ!」
「だ、大丈夫名前ちゃん!?」
「名前ッ!」


エースが名前とヨーグルトを手放す。
名前は咳き込みながらフラつき、イスに足を取られてそのまま後ろへと倒れてしまった。
エースが離したヨーグルトも一緒に落ち、床に倒れた名前の顔や首を白く汚す。
ガタン!という大きな音に、騒いでいた隊員達も気がつき、視線が名前へと集まる。
背中や頭を打って痛かったが、ヨーグルトが顔にかかったことに驚き、しばらくの間呆然と天井を見つめていた。


「うわ、エロ…」


サッチの言葉に、名前を見た全員の身体がビクリと揺れた。
口から少し溢れている白い半液体状のもの。顔や首元に散っているのも、呆然としているのも、初めて顔射されたような光景に見えた。
しかし、次第に眉を寄せて涙を流し始めた名前を見て、突っ立っていたマルコとイゾウが名前を抱き起こす。


「大丈夫名前ちゃん?」
「おい、誰か一枚持ってこい!」
「ひっく…もう……やだ…。エースさん嫌いです…!」


顔についたヨーグルトと流れる涙を手で拭いながら、ぼそぼそと泣く。


「俺にいっつも意地悪ばっかして…。痛いって言っても止めてくれないし…!今さっきのだって苦いのは飲めないって言うのに無理やり飲ませるなんて最低ですッ…」


名前の言葉を全てあっちの方向にとる仲間達。
どうやって声をかけるべきか。かけるべき言葉は何か、今の仲間達には解らない。


「ベタベタして気持ち悪い…。お風呂入って寝ます…」
「あ、……ああ、そうしたらいい。ほら、タオルだよい」
「ありがとうございます…」


持ってきてもらったタオルを名前の頭にかけ、「おやすみ」と声をかけると名前は頷いて食堂から静かに出て行った。
名前がいなくなった食堂では、異様な空気に包まれているのだった。

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