「パンツ買おうぜ!」 サッチさんに誘われ、先日到着した島の中心部へと足を運んだ。 メンバーはサッチさんと私とマルコさんとエースさんの、いつものメンバー。 四人で街へ向かい、サッチさんが嬉々として下着屋さんを探す。 「名前、断ってもよかったんだよい?」 「そろそろ新しい下着欲しかったんで…」 率先して下着屋さんを探すサッチさんを、エースさんが暴走しないよう見張っている。 私とマルコさんはその少し離れた後ろからゆっくりついていく。 マルコさんが「今のあいつと仲間だと思われたくない」って嫌そうな顔で言ってて、私もちょっとそう思った。 「名前、見つけたぞ!ほら、お前がいなきゃ入れねェから早く来いって!」 「えー…サッチさんと一緒に入るのやだなー…。マルコさん」 「俺ァ苦手だから外で待ってるよい」 そう言ってお店の外にあったベンチに腰を下ろして手を振るマルコさんから、「絶対に入らない」といった意志が伝わってきた。 そう言えば、最初私のパンツを買うときも外で待ってたよね。 ……私を気遣ってそうしてくれたのもあるんだろうけど、こういうのが苦手なのかな? 「名前、好きなの選べ。今日は俺が買ってやる!」 「サッチさんが?」 「ほら、こんなとかどうだ?」 「だから、紐パンはイヤですってば…」 店内に入るとサッチさんは興奮しながら店内を見て回った。 その勢いが怖くて苦笑いを浮かべてエースさんに助けを求めるけど、 「名前、くまパンはもう止めとけよ。お前ももうガキじゃねェんだからな」 「だからと言ってそんな大量のパンツを持って歩かないで下さい」 同じく楽しそうに店内を物色していた。 エースさんはいいお兄ちゃんだけど、ちょっと常識がずれてるからなー…。 二人は放置して自分で好きなパンツを探す。 こういうのを買うときはお姉ちゃん達を来たかったな。 …でも、サッチさんもエースさんも私のことを思ってくれてるんだよね…。うん、その好意は無駄にしたくない。 「名前、ナースさん達にこれ着てもらうよう頼んでくれ!」 「サッチさん…、すぐにバレてまた怒られますよ…?」 「名前ー、これはどうだ?」 「エースさん、自分の下着は自分で選ぶんで…」 と思ったけど、やっぱり下着屋さんには一緒に入りたくないや。 チラリと二人を見ると、サッチさんが知らない女性に話しかけていた。 エースさんは色んな下着を見ては首を傾げている。 よし、この間に買おう。買ってさっさと出よう。 「すみません、これください」 レジに持って行き、二人の動きを見張る。 もしかしたら何か変なものを突っ込んでくるかもしれないからね! 「サッチさん、エースさん。買い物終わりました」 「名前は先帰ってろ。エース、名前を頼んだ」 「またかよ…。行こうぜ」 どうやらサッチさんは街で遊ぶみたいです。 呆れたエースさんに背中を押され外に出てボーっとしていたマルコさんの元へ駆け寄る。 すぐに気がついたマルコさんは駆け寄った私の頭を撫でて、「サッチは?」とエースさんに聞く。 「遊んで帰るんだと」 「またかよい。名前、欲しいのは買えたかい?」 「はいっ」 下着が入った紙袋をギュッと握りしめ、マルコさんの手を取る。 「何か食って帰るか」 「さんせー!肉食って帰ろうぜ!」 「エース、テメェの分はテメェで払えよい」 「ケチマルコ!」 「だからと言って食い逃げもダメですよ」 「うるせェ!」 ほっぺをつねられ悲鳴をあげると、マルコさんが怒ってエースさんに拳骨を落とす。 涙目になって私を睨んでくるけど、私悪くないもん! マルコさんの影に隠れつつ、今日のご飯は街ですました。 お腹いっぱいにご飯を食べ、デザートもマルコさんに奢ってもらってから船へと戻る。 外はもう日が沈みかけ、昼間とは違う雰囲気が街を覆っている。 真っ直ぐ船へと戻っている途中、足取り重く歩いているサッチさんを見つけた。 「よー、サッチ。今日帰って来ないと思ってた」 「エースくん…、俺ァもうダメだ…」 「またフラれたのか?そういうときもあるって!」 どうやら昼間一緒にいた女性に怒られみたいです。 エースさんは笑いながら慰めてたけど、マルコさんは「自業自得だい」と言うような顔で黙っていた。 四人一緒に船に戻って、サッチさんはエースさんとマルコさんを誘って宴会を始めるらしく、その準備のため食堂へと向かった。 私も誘われたので下着を部屋に置いてから来ると伝えて一旦その場から離れる。 部屋に戻って買ったばかりの下着を紙袋から取り出し、収めようとしたけど、何かがおかしい。 「……エースさん!サッチさん!」 私が選んだ下着の中に、黒くてちょっとえっちそうな下着が混じっていた。 すぐに二人が犯人だと解った。いつの間に混ぜたんだ…! 下着を握りしめ、廊下を走ってサッチさん達がいる甲板へと向かうと、既にお酒を飲み交わしていた。 「ちょっとサッチさん、エースさん!」 「おう、どうした名前?」 「何だよ。お前飲まねェんだし先に初めてもいいだろ?」 「こんなもの入れないで下さいよ!」 こんなパンツはけません! そう言って下着を見せると、エースさんとサッチさんは爆笑した。 マルコさんが睨んでいたけど、お酒の力もあって強気になった二人は笑うのを止めようとしない。 「気づかねェ名前が悪い!」 「そうだそうだ!」 「それよりちょっとそれはいてこいよ!フラれたお兄さんを慰めて!」 「黙れよい」 笑っていたかと思ったら今度はエースさんに抱きつき泣きだした。 私だって泣きたいよ。こんなのあったってはけないし、はきたくない…。 「マルコさーん…」 「やっぱあいつらと一緒にいったのが間違いだったな…」 「こんなのいらない…。マルコさんにあげます…」 「俺もいらねェよい」 「そうだ!マルコは名前の使用済みのほうが欲し「ぶっ殺すぞ」すみません、口がすぎました。ちょっとお酒の力を借りて調子に乗りました」 下着をマルコさんに手渡そうと伸ばすも、マルコさんは受け取ってくれなかった。 まあ、そうだよね。マルコさんが使うことなんてないもんね。 だと言うのにサッチさんは変なことを言う。 その意味を考えるも解らない。 「エースさん、使用済みパンツを貰ってどうするつもりなんですか?」 サッチさんの胸倉を掴んでいるマルコさんから離れ、一人笑っているエースさんに近づいて聞くと、笑うのを止めた。 露骨に嫌そうな顔を浮かべて目を泳がす。 「そりゃあお前……。……あ、洗うに決まってんだろ!」 「そうですよね!」 使ったあとと言えば洗うことしか残っていない。 わざわざ洗ってくれるのかな?マルコさんは優しいなー。 でも洗濯ぐらい私でもできる。しかも私自身の下着だ。 「マルコさん、パンツぐらい自分で洗えます!」 「名前、そう言う意味じゃ「お前も学習しねェ奴だな。今日はどうされたい?」ちょっとぐらい大人の階段を登らせてやろうかと思っただけです!」 「サッチは余計なことばっか言うよなー…」 「あ、そうだ。マルコさんのパンツも貸して下さい」 「は!?」 「お前にはまだ早いって!ってかやり方知ってんのかよ!」 「いい加減にしろい!」 「エースさんのパンツも貸して下さい。俺が洗います!」 「その気持ちは嬉しいけど、ちょっと勘弁してくれ」 いくら妹だからって自分のパンツを洗わせるのはイヤだわ。 と苦笑するエースさんに、私はハテナマークを飛ばして頷くだけだった。 翌日。 「名前!だから何で俺らの横にお前のパンツも干すんだよ!」 「今度はイチゴパンツか…。マルコ、頼む」 「名前…、頼むから外に堂々とパンツを干すのは止めてくれ」 「だっていい天気だったから…。あ、ついでに皆さんのパンツもあったんで洗っときました!」 そう言うと三人は前みたいに頭を抱えて溜息をはきました。 [*前へ][次へ#] |