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妹育成ゲーム!その3

!注意!
パラレル注意です。
10年後の名前と現在の名前が入れ替わりました。
原作無視してます、すみません。
10年後でも白ひげ海賊団は誰も死なず、ほのぼの平和に過ごしてる設定です。





「あー…やっぱり今日もきたか…」
「今回はどんな名前ちゃんなのかな」
「小悪魔名前、また来ねェかなァ…」


未来からの来訪者に、マルコとイゾウとサッチは落ちついた様子で隊員達と楽しそうに会話をしている名前を少し離れた位置で見ていた。
さすがに三回目となれば慣れたもので、慌てることなく今の状況を受け入れている。
一番最初に来た名前はサッチが教育したらしく、小悪魔だった。「女」だと言うことをフルに活用し、隊員達を誘惑したり、弄(もてあそ)んだり…。
それでも誰も困ることはなかった。寧ろ楽しそうだったが、マルコやイゾウなどと言った過保護組はいい顔をしなかった。
次に来た名前はマルコが教育したらしく、普段のときは子供時代と変わらないいい子なのだが、スイッチが入ると女王モードに入る。
特に隊員達に対して酷く、男は自分のイスになって当たり前。私の言うことを聞いて当たり前だと思っている。その理不尽さがマルコにそっくりだと、イゾウやエース、サッチからの評判が悪かった。
そして今回。誰が教育したのかと三人で観察しているのだが、特に変わった様子は見せない。
しかし、前の二人に比べてどこか落ちつきがあり、表情も凛としている。


「一番大人っぽいよな」


サッチの言葉に過保護組は頷き、そしてほっと胸をなで下ろす。
もし扱いにくい名前がきたらどう対処していいか解らないからだ。


「じゃああの名前ちゃんは俺が教育したんだな」
「………いや、違う。あれも俺が教育したに決まってる」
「マルコォ、無駄なあがきは止めとけって。仕草とかイゾウに似てるし、イゾウが教育したんだろうな」


頼もしい雰囲気を持ちつつも、女性らしい柔らかい雰囲気も持つ。
時折浮かべる笑顔は、大人の女性らしい綺麗な笑顔で、回りにいる隊員達を魅了していった。
しかし、その反対で暗い表情を浮かべている隊員達もいる。
最初にマルコが気がつき、近づいて声をかけると大の男が涙を少し流していた。


「ど、どうしたんだい?」
「名前が…。名前が…!」


大丈夫だと思っていた名前は、どうやら大丈夫じゃないらしい。
一度三人で顔を見合わせ、ごくりと喉を鳴らしてから名前に近づく。
自然と隊員達が道を開け、苦労することなく名前の前に行くことができた。


「マルコさん、イゾウさん、サッチさん。ふふっ、やはりお若いですね。素敵です。あ、勿論十年後の三人も素敵です。たくましく、そして頼り甲斐のある方ばかりです」


口調は子供のとき以上に丁寧で、声色も優しいものだった。
こんな優しい子が隊員に何をしたんだい。とマルコはイゾウを見るが、過保護で親バカなイゾウは今すぐにでも名前を抱きしめたい気持ちでいっぱいで、マルコと視線を合わそうとしなかった。
勿論それはマルコもで、イゾウがそんな態度を取るものだからマルコ自身も今さっきの隊員のことなどどうでもよくなってしまう。


「名前ちゃんと随分大人っぽくなったね」
「ありがとうございます。イゾウさんのおかげです」
「俺?」
「はい。マルコさんやサッチさん、エースさん以上によくして頂いております」


深々と頭を下げる名前に、イゾウは口元を抑えて肩を震わせた。
隣のマルコは嫉妬でイゾウを睨んでいたが、感動しているイゾウには全くきかない。
サッチは普通の、真面目な名前で楽しくないと言った表情を浮かべている。


「お、名前。お前刀まで使うようになったのか?」


視線を下へと落としたサッチが、腰に差していた刀を見つける。
白ひげやマルコ達に言われ、武器は銃を持つよう言われていた。刀だと手に人を斬った感触が残るから。
だから刀を持つことはないと思っていた。
刀に手を伸ばした瞬間、イゾウと喋っていた名前が素早い動きで腰に収めていた銃を取り出し、サッチの伸ばした手を掴んで背中で拘束して銃口を首元に突きつける。


「いてっ!テメェ何しやがる!」
「申し訳ありません、サッチさん。触らないで頂けますか?」


背中で腕を拘束したまま甲板へと倒し、サッチの背中に乗ってトリガーに力を込める。
暴れるサッチだったが、ガッチリ拘束されているせいでうまく脱出することができない。
それを黙って見ているマルコとイゾウは止める気がないらしい。


「確かにいきなりだったけどよ、ここまですることねェだろ!」
「サッチさんが私に触るからです」
「つか、銃を向けるな!あと腕痛ェから!」


銃口を首元に突きつけることや、女と言えないほど強い力で拘束しているのも、きっとイゾウが教えたんだろう。
やっぱり今回も問題が起きた!と名前の下で文句を言うサッチ。
その様子と台詞を聞いて、名前は先ほどまでとは違う雰囲気の笑顔を浮かべて、拘束する力をさらに込め、グッとサッチの耳元に近づく。


「痛い…?気持ちいいの間違いじゃないですか?」
「―――ハァ!?」


嬉々とした声色に、サッチは驚きの声をもらす。
それを聞いていた隊員も、マルコとイゾウもさすがに驚いた。


「ほら、言って下さい。気持ちいいです。って」
「誰が言うか!俺ァマゾじゃねェぞ!」
「言わないと頭が大変なことになりますよ?」
「こわっ!名前こわっ!」


それとも刀がいいですか?と選択肢を増やす名前に回りにいた隊員達が一歩、二歩と後ろに下がる。


「どうしました?ちゃんと聞いてあげますから言って下さい。言わせるのは嫌いではありませんが、サッチさんですからできるだけそういうことをしたくありません。だから、ご自分から仰って下さい」


言葉は丁寧なのに、なんて恐ろしいことを言うんだ。
前回来た名前とはまた別のサドっぷり。
そう、今回やって来たのはただのドS。イゾウに似たドSなせいで、腹黒い感じもする。
イゾウ二号になってしまった名前は、とても楽しそうに「早く」とサッチを急かす。
銃口を下げる気も、拘束を解く気もない名前に、サッチは苦渋の決断を下す。


「……き…、気持ちいいです…」
「ふふっ、サッチさんってドMなんですね。―――気持ち悪い」


最後の台詞は軽蔑するよう冷たかった。
こんなところ(甲板の上かつ、回りにたくさんの仲間達がいる中)で言ったというのに、なんて酷い奴なんだ!とサッチは涙を流すが、名前は笑うだけ。


「名前が言えって言ったんだろ!」
「サッチさん、仲間殺しはタブーですよ?オヤジ殿との約束を破ることなんてできません。おバカさんですねェ」
「クソォ…!」
「サッチさん、こんな子供に言わされる気分はどんな気分ですか?」
「もう止めて!お兄ちゃん泣きたい!」
「泣くのですか?それは楽しそうですね。是非私の前で、私の名前を呼びながら泣いて頂けますか?」
「名前なんて嫌いだ!この人でなし!ドS!」
「ありがとうございます。最高の褒め言葉です。それに、その悲鳴がとても心地いいです」


反省することなく銃口を首元から離す。
サッチの背中からも降りて、銃を腰へと戻し、隊員達に目を向ける。


「明日の朝日を拝みたいのなら、私にできるだけ触らないほうが宜しいかと思います」


最初と変わらない綺麗な笑みで刀を握りしめる。
牽制する名前だったが、最後に「冗談です」と付け加えイゾウの隣に立つ。


「イゾウさん、今日も修行に付き合って頂けますか?」


今さっきのことなんてなかったかのような名前の態度に、イゾウは一瞬だけ戸惑ったが、すぐに二つ返事をするとその場から立ち去った。
残された隊員達とサッチにマルコは温かい目を向ける。


「サッチ、元気出せよい。つーか、いくら名前とは言え、油断していたお前が悪い」
「中途半端に慰めんじゃねェよ!」


ワアッ!と泣き始めたサッチに、マルコは声をかける言葉を失った。





イゾウさん教育バージョン。

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