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小説4

 見渡せば一面の夜の空。視界中に広がる夜空には星がちりばめられて、まばゆい輝きを放っている。人工ではない天然の夜空に改めて感動を覚えた。
 宇宙ではいつも一面の空を見ることが出来る。
 見渡すかぎり同じ景色ばかりで憂鬱になっていた、それ。
 しかし、地球から眺めるその光景は全くの別物だった。


「こんなこと、一生できないと思ってた。」
「あぁ…」

「君と、一緒に観ることができるなんて、一生……」
 さらりと茶色の髪が流れ、その隙間から魅惑的な瞳が覗き込む。
「……俺もだ」
 一生、もう触れ合うことはないと思っていた。
 そう呟かれた言葉にふと視線が落ちる。指先と指先が触れて、戸惑うようにぎこちなくそっと絡めとる。指先から互いの熱が伝わる。
 唇が触れ、そこから伝わる吐息。熱く、苦しい。


「……キラ?」
 互いの唇が名残惜しく離れて、ツウッと間に唾液が伝う。しかし二人の身体が離れる気配はなく更に温もりを分け合うように密着している。
「アスラン…お願い…」
 濡れた唇から囁く魅力的な誘いに、再び吸い寄せられていた。ただ、飽きることなく求め合って互いの熱だけを感じ取るように。


 夜空に広がるまばゆい星。それは、あまりにも綺麗で儚い光にみえた。
 ……いつか儚く消え去ってしまいそうな不安。それが漠然と胸の中に広がる。
 この不確かな存在を、強く強く掻き抱いて、繋ぎ止めておきたいと……そう、望んでいた。

  20070814 END
●心の隅でこの幸せがいつか無くなってしまうのではないかという不安を感じる二人の話です。
切ない感じが伝えられればと書いてみました。二人で星眺めるアスキラです。
久しぶりに書き上げました。短いですが読んで頂いてありがとうございました!
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